私の夫はかねてから聴力に不安があります。
ただ、毎年職場で受けている健康診断では、ギリギリのところでセーフになっているようで、結果はいつも異常なしです。夫の話では、聴力検査の音が聞こえず、何度かやり直しをしたこともあったとのこと。
夫の聴力は限りなく黒が混ざったグレーなのだと思いますが、本人はまったく生活に不都合がないから…と、耳のことは心配していないようです。
どこの家でも聴力に不安のある家族がいると、テレビの音が大きいなどの弊害はあるでしょうが、我が家でもそれに困っています。ただ、その程度の困りごとしかないのだ、とも思っていました。しかし、先日そうとばかりは言っていられない、と思うようなことがありました。
夫の聞き間違いがすごかった
それは夫とドラマを見ていたときのことです。
作中、こんなセリフがありました。
「ここの店名、読めないよね」
とある食堂の店名に難読漢字が使ってあり、読める人がいない、という話題だったのですが、夫はそれを聞いてこんなことを言ったのです。
「ところてんって、そんなに難しい漢字かな?」
なぜ急に夫がそんなことを言うのか私にはわかりませんでしたが、ところてんは「心太」と書くのだと言ったところ、夫は「そうだよね。なんで(ドラマの登場人物は)読めないって決めつけるんだろう」と言います。
そう、夫は「ここの店名」が「ところてん」に聞こえたわけです。これだけだとただの笑い話ですが、私には急に『ああ、あれはこういうことだったんだ』と腑に落ちたことがありました。
聞き間違いで発覚したこと
以前、夫が私に向かって突然怒り出したことがありました。私が夫のことを「この虫歯野郎!」と罵倒したと言うのです。確かにそのとき、私は夫にたまには歯医者に行った方が良いよ、という内容の話をしていましたが、決して虫歯野郎などと言っていません。
というか、罵倒の言葉として虫歯野郎って…私にはあまり威力のない言葉に思えるのですが。私はそんなことを言っていないと伝えたのですが、夫は確かにこの耳で聞いたと言って譲りません。結局私が謝ってその場を収めたのですが、随分と長い間納得できませんでした。
夫の聞き間違いを目の当たりにして、やっとあのとき夫は聞き間違えたのだとわかったのです。
聴力が衰えると聞き間違いが増えると言われています。「さとう」が「かとう」に聞こえるなど、私にも経験があります。
「さとう」と「かとう」、どっちかな、と不安に思っていれば聞き返すこともするでしょうが、明らかに「さとう」に聞こえたと思っていれば、それで納得。疑いをもって聞き返すことはないでしょう。
かつて私を怒った夫も、いくら私がそんなことは言っていない、と言ったところで、自分は確かに聞いたと思っているから、私の言うことに耳を貸すことはなかったわけです。
夫婦間の平和のためにも聴力の把握を
私も夫もまだ60代になったばかり。これから一層、そんなことが増えるのかもしれません。何も補聴器をつけて欲しいとは言いませんが、夫には自分の耳の状態を把握していて欲しいです。
自分がどの程度聞こえるのかをわかっていれば、何かのときにも『これは聞き間違いかもしれない』と思うことができるでしょう。また、どちらの耳の聴力が良いかをわかっていれば、私も良い方の耳に話しかけることができます。
こういう気遣いがあれば、夫婦でいたずらに争わなくても済むようになるかもしれません。そう言えば、一緒に生活していた夫の祖母も、晩年は急に怒り出すことがありました。私が特に覚えているのは祖母が自分の誕生日にお赤飯を炊こうとしていたのを、急に全部捨ててしまったことです。
「こんな年を取って誕生日なんて、めでたくも何ともない!」と大きな声で言っていましたが、あれも聞こえが悪くて、疑心暗鬼になっていたのかもしれません。祖母も聴力が衰えており、補聴器を使うように勧められていたのですが、補聴器は嫌だと言って使っていなかったのです。
そんな祖母に散々振り回された夫です。そのことを思い出して、ぜひ、自分と家族のために聴力検査を受けて欲しいと思います。今度勧めなくちゃ…気が重いな。
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