亡くなった母の思い出・現代人は風呂に入りすぎ

生活

私の母は、昭和11年生まれでした。昭和11年は2.26事件があった年です。もう歴史の1ページですね。私は昭和39年生まれですが、小学生の間は風呂に毎日入るなんて、贅沢だ!と母にいわれて育ちました。

毎日入浴は、私の世代(アラフィフ)から?

母の実家は新潟県の浦佐という土地で、魚屋を営んでいましたが、風呂を沸かすのは重労働だったそうです。水は井戸から汲んで、風呂桶に溜めなくてはならなかったし、沸かすのも薪を使っていたので、コツが要り、難しかったそうです。それでも大人は商売があったので、風呂焚きは子どもの仕事でした。

たとえ今はガスで沸かせるとしても、本来はそんな苦労が必要な風呂に、毎日入りたがるのは、贅沢だというのが母の理論でした。母の理論では水もガスもお金がかかっているから、もったいないのです。

でも、私が小学校の高学年になった昭和50年代、テレビではシャンプーのコマーシャルがひんぱんに放映され、清潔志向も高まっていました。
お風呂に毎日入っていないなんて、人に知られたくないと私は本気で思っていたために、嫌がる母に毎日風呂を沸かしてもらったのです。

ときは流れ、私も中高年になりました。すると、肌の乾燥に悩まされるようになりました。
その頃から、風呂は本当は毎日入らなくてもよいのではないかと、母のいっていたことを見直すようになりました。今は体をこすり洗いすることもないし、石けんもほとんど使っていないのに手や足が乾燥して、手触りもガサガサします。毎日風呂に入るから、こんなに乾燥するのではないか、私も少し自分の清潔志向を見直すべきなのか、と考えました。

洗わなくても、臭くなかった母の頭

風呂に毎日入るなんて贅沢だという母の考えは、死ぬまで変わることはありませんでした。
最後に風呂について話をしたときに、頭はもう3日洗っていないといっていました。
私は不潔だと思いましたが、母は痒くも臭くもないといいはります。何なら匂いを嗅いでみろとまでいうので、試しに嗅いでみました。

もし臭かったら、文句をいってもう少しシャンプーの回数を増やしてもらおうと思ったのです。
結果として、母の頭はまったく臭くありませんでした。無臭というのがぴったりでした。毎日シャンプーをしている人でも、夕方には多少匂いがすることがありますが、母には一切の匂いがありませんでした。私は、かなりびっくりしたので、印象は強烈でした。

それからしばらくして、湯シャンという言葉をネット上で見かけることが増えてきました。
シャンプーを使わずに、お湯だけで頭を洗うという方法です。
現代人はシャンプーのし過ぎで、頭皮の環境が悪くなっているそうです
毎日皮脂を取り除くと、頭皮がもっと皮脂を出そうとします。毎日洗っているのに、油っぽい、匂いが気になる、痒いなどの症状があるなら、シャンプーの間隔を開けることで治まる場合があるそうです。

私は毎日していたシャンプーの回数を1日置きにしてみました。間の1日は湯シャンで済ませるようにしましたが、それで何の問題もありませんでした。体の方も乾燥はしていますが、石けんを使わないことで、特に変わったことにはなりませんでした。

臭いのが嫌なら、嗅ぐな!

頭が臭いかもしれない、という疑念は確かにありますが、頭の匂いなんて嗅ぐからダメなのだと思っています。臭い匂いが嫌なら嗅がないという選択肢もこの世にはあるのではないでしょうか。それにどんなに念入りにシャンプーをした直後でも(二度洗いとか)、改めて匂いを嗅ぐとやはり頭独特の匂いがしました。これは娘と匂いを嗅ぎあったので確かです。
でも、人間は生き物ですから、頭の匂いはするのが当然かもしれません。こうなると自分にも生き物としての匂いがあることを認められるのが、器の大きい人間のような気がします。

風呂には毎日入らなくても大丈夫、これは母が教えてくれたことだと今は感謝しています。
毎日お風呂に入っている人は洗い過ぎで、皮膚(頭皮も)の状態を悪くしているのかもしれません。少し自分の清潔志向を見直してみるのもよいのではないでしょうか。

海外でも毎日洗髪は、クレイジー!

今でも海外では、髪の毛が傷むから毎日シャンプーはしない人が多勢いるそうです。
日本でもこんなにシャンプーするようになったのは、この4~50年のことだと思います。
それなのに、この習慣を正しいと思い込み、こんなに縛られてしまうとは、人間の思い込みは恐ろしいものです。

こんな習慣が定着する前に、私たちが考え直すべきでしょう。
それに、シャンプーの回数が減ると、髪の毛が絡まないので、排水口の掃除も楽になりますよ。

ただ、どんなに乾燥しても、毎日浴槽に浸かるのは、気持ちがよいのでやめられません。
そこも考えを改めて、足湯だけにする日、体を拭くだけの日があってもよいのかもしれません。

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