夫とドラマを見ていたら、昔団地に住んでいた頃を懐かしく思い出しました。
私は団地に転居するのと同時に転校も経験しましたが、同じ団地に住んでいる子がいると、それだけで何だか親しいような気がして転校生の心細さは味合わずに済みました。
しかし、どんなところも良いところだけのはずはなく、上の階の音がうるさい、などというのは日常茶飯事。中でも私が今も忘れられないのは、中学2年生のときの水漏れ事故です。
ある日帰宅すると家の中が水浸しだった…
当時、洗濯機で洗濯するとき、専用の排水口は確保されておらず、各自で洗濯機の排水ホースを浴室へ倒すしかありませんでした。
私は中学生のときから洗濯をしてきましたが、最初に母からはしつこいほど「必ずホースは浴室へ倒すんだよ。でないと、水が溢れて大変なことになるから」と言われていました。ちょっとしつこいな、大げさだなと思っていましたが、私は何とかホースを倒すのを忘れずにやっていました。
まだ、中学生で洗濯をすることの方が非日常だったから、忘れずに済んだのかもしれません。主婦になってしまうと、洗濯は日常そのもの、ほとんど無意識にやっていることも多いです。
私が中学生当時、団地の最上階(エレベーターなしの5階)に住んでいた主婦も同じだったのでしょう。あるとき、私が下校して自分で玄関の鍵を開けたとき、目の前に大きな水たまりが出現。
それだけでなく、天井からはザァザァと音を立てて水が流れています。これはどういうことだろう…と私はその場に固まってしまいました。
そうしたら、すぐに玄関でチャイムがなって、5階の住人が飛び込んで来ました。
ごめんなさい、洗濯機のホースを倒すのを忘れて、水が溢れちゃったの。また後で謝りに来るから!
飛び込んで来た住人はまたすぐに飛び出して行きました。『あ~、きっと1階の家に行くんだな(我が家は2階だった)』と思いながら、やっと私は濡れているところを拭くために動き出したのです。
その後、私は何をしたのか、さっぱり覚えていません。後で5階の住人がアップルパイとウィスキーを持って、謝りに来たのだけを覚えていますが、あれだけ濡れていたものをちゃんと拭けたのだろうか、と思います。
同じ団地に住んでいると一蓮托生?
結局水漏れは、4階から1階までに及び、壁紙やオーディオ機器をダメにしました。それはすべて5階の住人が保障しました。実家も壁紙を張り替えてもらったそうです。
洗濯機の排水ホースを倒す、倒さないでこんなトラブルに発展するとは…今では考えられないですよね。しかも、自分の家だけでなく別の家にまで迷惑が及んでしまうのです。
こんなことからも、団地に住んでいると赤の他人よりも近い関係と感じるのかもしれないな、と思います。
あのときの5階の住人、母よりは少し若かったと思います(子どもも私よりも年下だった)。まだ、お元気でいるだろうか。きっと私が見ているドラマの鈴さん(加賀まりこさんが演じている)くらいの年齢なのかな?
もう50年近く経っているから懐かしく思い出せますが、御本人もしばらくは凹んだだろうな…もちろん、注意すれば防げるトラブルかもしれません。しかし、気をつけていても、ふとした瞬間に思いもよらないことをしてしまうのが人間でしょう。
家族的な面だけではない、団地に住むということ
母が亡くなり、弟が転居して団地にあった私の実家はなくなりました。母が生きていた頃、すでに私が子どもの頃から住んでいた人は少数派になっていましたから、どのみち懐かしさはあまりなかったですが、完全になくなってしまうとちょっと寂しいと思っていました。
もしかして、私はドラマを見ているようで実は昔の実家の面影を探っていたのかもしれませんね。
同じ団地に住んでいるだけでちょっと親しい気持ちになる、と先ほど言いましたが、人が流動的なのもまた団地の特徴です。戸建てを建てるまでのつなぎとして住んでいる人、もっと便利そうな別の団地に移る人など、団地に住んでいる多くの人は、しばらくすると別の場所へ行ってしまいます。
このひとが流動的なところを寂しいと思ったこともありましたが、人間関係をがんじがらめにしないことに役に立っているのかもしれないな、などと今は思います。ずっとそこに住まなくてはならない、と思うと、団地に住んでいてもまた、気持ちが変わってくるのかもしれませんね。
なんてことを考えていたら、ドラマでも主人公がずっとこの団地に住む覚悟はあるのか…と悩むことになるらしいです。楽しみですね。


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