先日最終回を迎えたドラマ「しあわせは食べて寝て待て」。最終回で宮沢氷魚さんが演じている司さんが、認知症の祖母に対して黒い感情を抱いてしまったと呟く場面がありました。
司さんの黒い感情とは
呟いた後に司さんは、そんな自分には誰かの面倒をみる資格はないと言っています。その黒い感情というのは、認知症の祖母が寝間着のまま表に出ていってしまったときに『このままいなくなればいいのに』と思ってしまったことなのです。
これ、そんなに特別なことなのでしょうか?私にはそう思えません。子どもでも病人でもお年寄りでも、誰かのケアをずっと担うのはとても大変です。自分でも知らないうち、心身に疲れが溜まってくると思います。
司さんのお祖母さんは寝間着のままいなくなったのですから、それは深夜のことでしょう。夜もおちおち眠れなくなった司さんには、かなり疲れが溜まっていたはずです。『このままいなくなればいいのに』と思っても不思議はありません。
私は司さんがそう思うことで、自分を守ろうとしていたのだと思います。それに『いなくなればいいのに』と思うことと、実際に相手をいないものにしてしまうことは違います。
多分、司さんは『いなくなればいいのに』という思いを打ち消して、祖母を探しに家を出たのでしょう。『いなくなればいいのに』と思う自分を完全に否定してしまうと、今度は司さん自身が壊れてしまうような気がするのです。
私にも黒い感情が…
なぜ、今になってこんなことを言うかというと、夫の弟が入院したことがきっかけになりました。
入院の知らせを受けたとき、また夫が大声で文句を言うだろうと思うと、本当に嫌だった。入院費用も負担しなくてはならないだろう、いや入院費用だけじゃないかもしれない…と考えると、こんな人いなければいいのに、と私も思いましたよ(だって2回目だし…)。
私がちまちまとやりくりしていたお金を、すべて持っていかれてしまうわけです。今までの自分の生活も否定されたような気がしました。しかし、私はこういう感情を持つ自分を否定しません。
それに弟がしたことは、私にそう思われても仕方のないことです。以前は世話になったとかならまだしも、今までほとんど交流がなかったのに、自分が困ったときだけ、突然助けてと言ってきたのです。
でも、夫の邪魔はしない
ただ、夫の気持ちの中には弟との関係を切れない、という思いもあるのでしょう。自分と同じルーツを持った数少ない人間が弟なのですから。そう思うからこそ、夫の邪魔はしないようにしています。
まあ、私の場合は司さんのようにやれるだけやった、と吹っ切れるような状況ではないので、何だかすっきりしませんが…
後、これは私が勝手に思っているのですが、誰かをいなければいいのに、と思っているとき、実は相手のことではなくて、自分のことを思っていたりすることはありませんかね?つまり、相手ではなくて自分を消してしまいたいと思っているのではないか。
相手を消しても、自分を消しても結果は同じ。もう、関係を持たなくて済みますから。誰かのことをいなければいいのに、と思っていると、そのうち自分にほこ先が向かってくるのかもしれません。できればそんなことを思わないで済むのが一番いいですよね。


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