実家の片付けとか遺品整理という言葉を見ると自動的に思い出す夫の深刻な顔

大量のゴミ 生活

夫が自分の実家の片付けをしたのは、もう10年ほど前になります。夫の実家は明治の初期に建てられたもので、老朽化が進んでいました。夫の父と母は早くに亡くなり、私たち夫婦がアパートから実家に戻ってくるときに、住んでいたのは夫の弟(三男)と祖母だけでした。

あまりに大きく古い建物だったので、いっそ二世帯住宅に建て替えたら、という話も出ましたが、祖母は首を縦に振りませんでした。祖母は自分が生まれ育った家に、それは愛着を持っていたのです。

費用を浮かせるために夫は片付けを始めた

しかし、祖母が亡くなると弟も家を出ました。人が住まなくなった家は急速に劣化が進み、大雪のときには屋根から瓦が落ちてくるという危険な状態になってしまったのです。

大きな家だったので、解体工事に200万円くらいかかる、中の道具も一緒に処分するなら、さらに50万円上乗せだと業者に言われてしまいました。そこで節約のために夫は俺が片付ける、と決意をしたのでした。

夫は仕事が休みのときはすべて実家の片付けをするようになりました。私もたまには手伝いましたが、力仕事が多く、ほとんど役に立ちませんでした。夫は黙々と実家の中の家財道具を運び出し、軽トラックに積んでゴミ処理施設に通いました。

夫が助けを求めてきた

しかし、片付けを初めて1カ月以上経った頃、夫は一緒に軽トラに乗ってゴミ処理施設に行って欲しいと言い出します。どうしたのかと不思議でしたが、夫はこんなことを言うのです。

俺はゴミ処理施設の職員たちに産廃業者じゃないかと疑われているようなんだ。処理費用をケチってわざわざ軽トラでゴミを捨てに来ていると思われているんだ。

私は考え過ぎではないかと思いましたが、夫は職員から何度も「これは本当に一般家庭のゴミですか?」と聞かれたそうです。夫は正直に実家の片付けをしていると答えましたが、毎週のように来ていることも手伝い、徐々に夫は嘘をついている産廃業者だと思われるようになったようです。

まあ、それで夫の気が済むならと私は何回か軽トラックの助手席に乗りましたが、疑おうと思えば私たちは夫婦を装った嘘つきの産廃業者に見えなくもないだろうな~、と思っていました。私が一緒に行った時は、職員からのお咎めはなく、そのうちに実家の片付けも無事に終わりました。結局夫は解体をする業者から「よくあれだけのものを一人で片付かましたね」と感心されたのです。

疑われずに片付けができる世の中になって欲しい

あれから10年、ネットニュースではしょっちゅう実家の片付け、遺品整理などの言葉を見かけます。それだけそういったことが市民権を得て、人々に知られるようになったのでしょう。

ぜひ、片付けをする人が疑われずにできる世の中になって欲しいです。何しろ産廃業者である証明は身分証明書などでできるでしょうが、産廃業者でないという証明はできません。夫も困ったと思います。しかし、実家の片付けをすると大量のゴミが出ることもあるのだと誰もが知っていれば、疑われて困ることも減るのではないかと期待が持てます。

私たちが住む市では、ゴミを持ち込むときは50kgまでは無料で処分してくれます。我が家には軽トラックがあったため、夫は1日何度もゴミ処理施設に行ったために顔を覚えられてしまったわけです。少しでもお得にゴミを処分したいという気持ちが仇になったのかもしれません(それに軽トラックには積みたくてもそんなにたくさんのゴミを積めなかったのです)。

今でも実家の片付けとか遺品整理などの言葉を見ると、「俺は疑われている」と言った夫の深刻な顔を思い出すのです。

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