安倍元総理が狙撃された瞬間の映像が何度もテレビで流れました。生々しくて見るのが辛い映像でしたが、不思議とこれが流れなければ良いのに、とは思いませんでした。
その映像はおそらくはスマホで撮られたもので、きっともともとは安倍元総理の演説風景を撮っていたのでしょう。それがそのまま狙撃される衝撃映像となってしまったわけですから、撮っていたご本人もきっと驚いたはずです。
映像を見て初めてその場に居た人のことを考えた
映像にはそのとき集まっていたたくさんの人たちの姿も映っており、銃弾が発射された瞬間の驚きや恐怖が伝わってきました。私はその場に居た人たちは恐ろしい思いをしただろうと、わかっていたつもりでしたが、映像を見て、初めてその場の恐怖をほんの少しですが実感したような気がします。
私がそれまで頭の中に描いていた恐怖は、あくまで絵空事で、自分とは遠い世界の出来事でした。スマホの映像が伝えてくれたことで、初めてこれは遠い世界のことなんかじゃない、同じ日本の中で起こったことだと思うようになりました。
亡くなった安倍元総理は本当にお気の毒ですが、その場に居合わせた人たちも気の毒です。その人たちは恐怖を抱えたまま、生きていかなくてはなりません。襲撃の様子の映像が流れなかったら、私はその人たちの恐怖や悲しみに気づけなかったかもしれません。
私が気づいたからといって、特に何かができるわけではないですが、私のように気づいた人たちはたくさんいるはずです。そんな人たちが、少しでも恐怖や悲しみを分かち合えたら良いと思います。
映像は何度も流れました。長女はちょっと見るのが辛い…と言っていましたが、私は見ながら何度も映る大勢の人たちに対して、本当に大変だったね、と語りかけたいような気がしていました。
あの場に居た人たちに伝えたいこと
確かに見ていて気持ちの良い映像ではありませんが、もうこれは終わってしまったことです。そして私は安全な自宅からそれを見ています。あの場所に居た人たちに比べたら、どうってことありません。
あの日、あの場所にいらした皆さんが苦しくなったら、早く周りに頼るように願っています。それでなくても、現在の日本で死は遠くにあります。普段死を意識することなど、ほとんどないでしょう。私たちは死に対して免疫がないのです。
だから、あの現場を見てしまった人の心には大きなキズができていても不思議ではないと思います。本当にお大事にしてくださいと、伝えたいです。
私は普段、視聴者撮影の映像が流されると少し批判的な気持ちにもなっていました。こんなのを撮影しているなら、もっと他にできることがあるのでは?と思っていたのです。しかし、今回に限っては全面的に受け入れます。安倍元総理狙撃の現場の映像には大きな意味があるように思います。