先日、理髪店で髪の毛をカットしてもらっているときに、私が橋本病だという話になりました。夫婦でやっている理髪店、奥さんとは同い年ということもあってよく話します。橋本病という単語によく反応するので、不思議に思いました。
橋本病だったのは…
すると以前飼っていた犬が橋本病だったと言います。その犬は迷い犬としてやって来た柴犬を保護したものでした。最近にしては珍しく、外に犬小屋を置いて飼っていたのです。ご主人が犬好きですでに2頭飼っていたために、最初奥さんは柴犬を飼うことに反対でした。
反対のまま柴犬を飼いだしたある朝、餌をあげようと外に出てみると柴犬に異変がありました。ふらついて足元がおぼつかなくなっていたのです。犬には慣れていたはずの奥さんもそんな様子を見たのは初めてのことでした。びっくりして、仕事の合間をぬって、動物病院に柴犬を連れて行ったのです。
そこでさまざまな検査を受けて判明したのが橋本病でした。この柴犬はすでに寿命が尽きて亡くなっていますが、亡くなるまで薬を服用し続けました。柴犬のフラフラになっている様子を見て、奥さんは誠心誠意この犬の面倒を見ようと思ったそうです。それほど、柴犬の様子はかわいそうなものだったようです。
奥さんは私が橋本病と知るとしきりと「大丈夫なんですか?マッサージとかは普通にやって良いですか?」と口にしていましたが、これは柴犬の記憶が消えていないためだったのでしょう。そして「犬と一緒にしてすみません」とも言っていましたが、私はかえってその柴犬に親近感を覚えたのです。
柴犬に仲間意識を持つ
柴犬が理髪店で保護されて、ずっと飼われていたのは私も覚えていますが、当時すでに成犬になっていたせいか、客に興味もないようでした。だから、私は頭一つなでたことがなかったのです。しかし同じ病気だったのだと知った今、この柴犬は本当に大変だったのだろうと思っています。
調べてみると、犬の橋本病ではふらつきはよくある症状のようです。人間の場合も甲状腺ホルモンが足りなくても多すぎても影響がありますが、ふらつきなどは聞いたことがありません。身体の小さな犬なら、もっと影響が大きいのかもしれません。小さな身体で頑張っていたんだな、と思うと、柴犬が健気に思えてきます。
柴犬が生きているうちに病気のことを知っていたら、もっと違う気持ちで向き合えたかもしれないのに残念です。しかし、これもまた運命なのかもしれません。それにしても、動物を飼うというのは、本当に大変なことですね。病気になったときの負担は人間以上だと思います。
倉庫のアライグマを捨てたなどという話は、とても理髪店ではできないなと感じて、店を後にした私です。