私が子どもの頃でも、靴下が破れたらつくろうことはありませんでした。物を大切にする人でも、せいぜい雑巾の代わりにすれば、よい方だったのではないでしょうか。
今はおしゃれにダーニングという
私の次女が破れた靴下を手に、ダーニングがしたいんだ、といい出しました。でも、針仕事が苦手なので、どうも勝手がわからないようです。私にできるか、と聞いてくるので、いろいろと調べてみました。ダーニングとは、破れたところを縫うのではなく、まず最初に縦糸なり横糸なりを渡して、次にその間に交互に糸を渡して、布を織る要領で穴をふさいでいくことだとわかりました。
この穴のふさぎ方自体は昔からあって、昭和の初期に生まれた人の文章にも、布を織るようにして靴下の穴をふさいでいる場面が登場します。ただ、昔は靴下の穴をふさいだことがわからないようにしていたのに対して、現在は自分の好きな色を使って楽しみながら穴をふさぐところです。穴をふさいだところが、靴下(靴下だけとは限りませんが)のアクセントになるように、思い思いの色を使い、可愛らしく仕上げた作品の数々をネットで見ることができます。
ダーニングにはよいところがたくさん
最初は靴下くらい、新しいのを買えばいいのに、といっていた私ですが、実際にダーニングをしてみると、とても楽しいので意外でした。何しろ靴下なので、すぐに終わりますから、大きな作品はちょっとという腕前でも達成感を味わうことができます。材料はもともと破れた靴下などですから、失敗しても捨てればよいと思っているため、気軽に取り掛かることができます。太めの糸を使うところも、老眼の私にはピッタリです。
次女に対しては、近頃は不安を感じることが多かったのですが(彼女が家に閉じこもってから、もう4年がたってしまいました)、チクチクと針を動かしていると、無心になれて心が落ち着いて行くような気がしました。何より喜んでもらえると、私もうれしい気持ちになります。
ダーニングのことをよく知っているわけではありませんが、靴下の穴をふさぐときには、そのままではやりにくいです。昔は電球を入れて、変なところを縫わないようにしていましたが、私はジャムの空き瓶を使いました(専用のダーニングマッシュルームというものもあるそうです)。靴下の穴の部分をピンと張ることができるので、格段に縫いやすくなるし、瓶は机に置いて使えるので、電球よりも縫いやすいように思います。自分のちょっとした工夫が活かせるのも、ダーニングのうれしいポイントのように思います。
冬の楽しみとしておすすめ!
ダーニングをして楽しいと感じられるのも、冬ならではないでしょうか。大体暖かくなると、靴下のありがたみなどは忘れてしまいます。靴下だけでなく、セーターやカーディガンなども、シミや穴が開いていたら、ダーニングで直してあげると、またしばらく愛用できそうです。
ダーニングの唯一の欠点は、どうしても貧乏くさくなるところでしょうか。だからこそ、使う糸の色や縫い方にはセンスが必要とされるようです。でも、ダメ元で取り掛かれるのもダーニングの魅力です。靴下なら、なかなか他人には見せませんから、その点でもスタートは靴下からがおすすめです。何より楽しいですから、靴下が破れたら、チャンスかもしれませんよ。