昨日テレビを見ていたら「自己達成予言」という言葉を耳にしました。これは自分に強い思い込みがあり、何度もその思い込みを口にしていると、いつしかそれが現実のものとなる、ということを予言と言い表したものです。
つまり心に強い不安があり、それを何度も口にして自分の耳から聞くことで、自分が無意識にその不安を現実のものとなるように行動する、ということが現実に起きるそうなのです。だからネガティブなことばかりを口にすると良くないということなのでしょう。
私は自己達成予言についてもう知っていた?
この話を聞いたときに最初に思ったのは『こういうこと言う人っているよね~』くらいのことでしたが、自分で何度も話を反芻しているうちに私はこれを実地で体験したことがある、と思い当たりました。私は一体いつ、どこで自己達成予言を実感したのでしょうか?
これは厳密に言うと、私自身のことではなく、私の母のことでしたが、私にも関係があることでした。私の体が丈夫かどうか、という問題です。私は現在57歳で特にこれといった深刻な持病があるわけではありません。
しかし、私は幼い頃、母にこう言われて育ちました。「本当にゆみこねこは体が弱いね~。毎月のようにカゼを引いているじゃない!こんなに弱い子は将来結婚できないし、子どもも産めないよ」
母の予言どおりに育った私
確かに私は子どもの頃、よくカゼを引いていました。当時気管支が弱かったらしく、熱はほとんど出ませんでしたが咳がひどく、咳き込みすぎて吐いてしまうこともありました。
だから、母も私もちょっとしたカゼのような症状にとても敏感になっていたのだと思います。母も私が最初の子どもでしたから、カゼを引くということに神経質になっていたのだと思います。少し喉がイガイガするとか、ちょっと頭が痛いなどと感じるとすぐにカゼを引いた!と騒ぐことになってしまったのです。
中学生になると、カゼを引くと自分で医者に行くようになりました。そうして自分で何回医者に行ったかを数えてみると、本当に母の言った通り、月に一度のペースで医者に行っていることがわかったのです。私は母の予言どおりに成長したのです。
家を出たらカゼを引かなくなった私
しかし、私は大学を卒業して就職すると、実家を出て一人で暮らし始めます。最初のうちこそ、一人っきりでカゼを引いたらどうしようと思っていましたが、実家にいた頃毎月のようにカゼを引いていたのが、三年間の一人暮らしの間に二回に減ったのです。
その後結婚しましたが、子どもたちが成人するまで、私はほとんどカゼを引くこともありませんでした。子どもたちは人並みにカゼを引き、よく発熱までしていましたが、私は感染することもなかったのです。母のそばから離れたことで、予言は効力を失ったのでしょうか?
大人になったら予言は効力を失った?
まあ、私も大人になったことで、母の言葉がそんなに大きなものではなくなったのが大きかったのだと思います。また、同級生にも不思議そうにこんなことを言われました。
どうして、カゼくらいでそんなに気にするの?カゼはすぐに治るでしょ?
大したことじゃないよ。それにもっと頻繁にカゼを引いている人はいくらでもいるよ。
私自身、子どもを生んだ後で母に確かめたところ、母は自分の言ったことをすでに忘れていました。でも、私は母に「体が弱いね~」と言われる度に、本当にそうだな~、だから私はダメなんだと思っていたのです。幼い子どもにとって保護者に言われたことはかなり効力を発揮します。さらに私は体が弱いことを、自分ができないことへの言い訳に使っていたのだと思います。
このことで私は、何かいろいろなことをムダにしてしまった気がします。だから、自分にも人にもネガティブなことを言い続けるのは止した方が良いのではないでしょうか。
しかし、良かったこともあります。子どもたちがいくらカゼを引いても、私は「大丈夫。そのうち丈夫になるから」と言っていられました。何しろ実体験がありますから、自信を持って言うことができました。
今では幼い子どもがたくさんカゼを引くと免疫力が高くなりますよ、と言ってくれる医者も増えているそうです。確かに娘たちも今は大きな病気はありませんし、カゼも引かなくなりました。