あるとき、実家の母にこう言われました。
押入れの奥からこれが出てきたの。きっとお前のものだから持っていってちょうだい。
これとは高さが50cm以上もある大きなうさぎのぬいぐるみでした。うさぎのぬいぐるみは座った形でしたから、人間の3歳児くらいのボリュームがあると思います。
見覚えがないのに押し付けられた
しかし、それを見せられたとき、私には全く見覚えがありませんでした。だから弟のものではないかと答えたくらいです。それに対して、母は弟にも確かめたけど、知らないと言っていたと言い、そのうさぎを私に押し付けてきたのです。
長女がかわいいからもらって帰ろうと言うし、仕方がないのでそのまま持って帰りましたが、何だか納得行かないし、そのうさぎの顔まで薄気味悪く見えてきました。
うさぎはちゃんと洋服を着ています。毛並みもキレイですが、手触りが悪いです。普通のぬいぐるみは中に綿が入っているのでしょうか?大抵はふかふかしていると思いますが、そのうさぎは触るとギシギシ言います。
私が触った感じで連想するのは藁(わら)です。
私の思いをまったく無視して、長女は自分のベッドの上にそのうさぎを置きました。それからもう10年くらいは経ったと思います。今でもうさぎは長女のベッドの上にいます。
うさぎが来た経緯は?
うさぎが我が家に来て、何年か経った頃、私は少しずつこのうさぎがやってきた経緯を思い出してきました。どうやら私が大学を卒業して初めて勤めた職場の同僚にもらったもののようです。
心当たりのある同僚も3人ほどいますが、ハッキリしたことは今でも思い出せません。こんなに大きなものをもらっておきながら、こうまで思い出せないなら、理由は1つしかありません。
職場を思い出したくなかった
私は最初の職場でつまずきました。つまり人間関係がうまくいかなかったのです。良く言えば家族的な職場でしたが、小さな閉鎖的な職場で1度うまくいかなくなると八方塞がりの気分になりました。
結局私は半年でその職場から去りました。うさぎのぬいぐるみは押入れのそれも天袋(天井に近い、小さなところです)の中の奥の方に押し込められていたそうですから、私はそれを見たくなかったし、存在をなかったことにしたかったようです。
ちゃんとそのときに処分をしていなかったから、20年も経ったときにいきなり出てきて私をびっくりさせたのです。
嫌な思い出にはすぐに対処を
よくしまう場所があるなら、ものは捨てなくてもよいと主張する人がいます。でも、それは自分が気に入っているもの、嫌な思い出がないものに限るようです。少しでも嫌な思い出があるものを封印するようにしまっておくと、再び出てきたときに怖い思いをします。
私の場合は嫌なことを思い出せないのですが、そのこと自体が怖いです。記憶が消されるほど、嫌だったことがあったのかと考えると、今でもどうしたら良いのかと考えてしまいます。
ちゃんとそのときに、対処をしておけば良かったのに、先送りにしたばかりに今でもちょっとうさぎが怖いです。そして今更捨てるのも怖いです。
今は長女のものになっているので、捨てるに捨てられないのですが…
どうか嫌な思い出こそ、早めの対処をしてください。物は捨てない限り、そこに存在し続けます。そしてあるとき出てきて、私たちを脅かします。物は復讐するのです。それとも物はただ私の気持ちを反映しているだけなのでしょうか。
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