夫の弟が部屋探しをしているため、夫の電話には頻繁に弟からの連絡があるようになりました。昨日もあったのですが、夫の言葉に弟が腹を立てて電話を切ってしまいました。
電話を切られた夫はひどく狼狽した
昨日、電話で夫は弟に対して、住むところが決まったら早く働かなくてはいけない、と何度も繰り返しました。我が家は弟が昨年脳梗塞で入院したときにも、金銭的な援助をしていますし、今回もまったく知らんぷりはできないわけです。弟が多少金銭的にも安定しなくては、夫(を含めた我が家全員)が安心して生活できないと考えての言葉だったのでしょう。
それが弟には圧力をかけていると感じられたようです。「そうやって追い込むなら、もういい!これから首をつって死ぬ」と怒鳴って電話を切ってしまったのです。
夫にしてみれば、貴重な休日を費やして部屋探しに付き合い、終われば長距離を運転して弟を部屋まで送り届け、相談(愚痴)も真剣に聞いていたのに、そんなことを言われたのがとてもショックな様子でした。
そして私に向かってこう言いました。
お前は少し放っておいて、弟に自分でやらせてみろ、って言うけど、あいつは死ぬなんて言って電話を切ってしまった。俺はこれが心配だったんだ…このままあいつが死んだら、俺が悪者にされてしまう。
夫の母の死が影響している?
もう30年以上も前、夫の母は自死しています。夫の父は夫が9歳のときに交通事故で亡くなっていますが、その後母と祖母(この人と私は、敷地内同居をしていました)の折り合いは良くなかったようです。
母の遺書にはそのことについて書かれており、母の実家(夫の家から徒歩5分のところにあります)では、祖母のことを快く思わないようになりました。
これは私の勝手な憶測ですが、母の遺書には息子たちについても触れられていたように思います。夫の母が自死したことを聞いたとき、夫は決して祖母がいけないとは言っていませんでした。いろいろな行き違いがあったけれど、それは自分の母親にも原因があったのだ、夫はこんな言い方をしていました。
そのときに、私は『夫は正しいのかもしれないけれど、お母さんは辛かっただろうな…自分が生んだ息子に100%味方をしてもらえなかったんだ』と思ったのです。母は祖母とうまくいかなかった事実とともに、息子たちへの辛い気持ちを遺書に書いたのかもしれません。
その結果、夫はまるで自分が母の死に加担したかのような気持ちを持ってしまったのではないでしょうか。夫にしてみれば、母が働いている間、入院している間、自分たちを育ててくれたのは祖母でした。祖母も大切な夫の家族だったわけです。母のためとは言え、祖母1人を悪者にはできなかったのでしょう。
母が亡くなった当時は、夫たちまで親戚に心無い言葉をぶつけられたそうです。それをずっと我慢して生きてきたわけですから、夫が若い頃から、一見偏屈に見えたのも仕方のないことかもしれません。
私は夫のようには思わなかった
ただ、私は弟がすぐに首をつって死ぬとは思いませんでした。昨年、弟は一人暮らしの部屋で脳梗塞の発作に襲われました。今までに経験したことのない激しい頭痛だったと言います。そんななかで、弟は自分で救急車を呼び、貴重品を持って乗り込んだのです。
本当に生きる意思が弱い人なら、そんなことはできないと思います。私自身は自分が普通の人間だと思っていますが、それでもそんなときに的確な判断をして自分自身を救うことができるか、と言われると少々疑問を覚えます。
弟はそうやって命が助かり、リハビリにも耐えて、今はほとんど前と変わらぬ生活を取り戻しました。今は杖を使って歩いていますが、直にそれも回復するのではないかと思います。そんな人が、兄の言葉に腹を立てて自死することはありえないと思ったのです。だから、夫にも「彼は大丈夫だよ。また、ほとぼりが冷めたら電話があるよ」と言いましたが、夫の顔はこわばったままでした。
夫と弟2人だけでは、ちょっと…
結果として弟からは1時間もしないうちに、謝りの電話がありました。まあ、事態は丸く収まったわけです。私の言う通りになったのを夫は驚いているようでした。
私は夫が弟のためにそこまでする、理由がわかったような気がしました。母の自死によってできた夫の心の傷が、夫を動かしているもかもしれません。
しかし、夫と弟と2人だけで話していると、どんどん深みにハマっていくような気がします。やはり第3者が側にいてくれると良いな、と思うのですが、夫はもう親戚には頼りたくないと言っているし、どうしたものでしょうか。
社会福祉関係の人などに話を聞いてもらえると、夫のためにも弟のためにもなると思います。2人がヒートアップしたときには、仲裁にはいってくれるような人、いないですかね。