先日、昼ごはんを紹介するテレビ番組の中で、36歳の女性がお母さんの手作り弁当を紹介。私はそれを見て複雑な思いにならざるを得ませんでした。
私自身も59歳の夫の弁当とともに30歳の長女の弁当を作っています。1つも2つも同じと考える方もいるかもしれませんが、我が家の2人は出勤日がずれていることが多いので、ついでに用意ができるとはかぎりません。
弁当が目立っているけど、問題はそこではない
翌日のツイッター上では、さまざまな感想が並んでいたので、見る人にいろいろと考えさせるお弁当であったのでしょう。一番多かった意見は、もう自分で仕事をしている大人がいつまでも親に弁当を作ってもらっているなんて、という否定的なものであったようです。お昼くらいは自分でなんとかしろ、というわけです。
私が複雑な思いになった理由は、もちろん一体いつまで親がお昼の心配をしなくてはならないのか、いい加減もううんざりだ!と思ったからでもあるのですが、それでは長女が弁当を持っていかなければ、問題が解決するのでしょうか?
長女が一人暮らしを始める、結婚をするために家を出る、などの理由があって弁当を作らなくて済むときには、私は納得して弁当作りをやめるでしょう。「そんなに弁当を作るのが面倒なら、作らなくていいよ。お昼なんて、どこでも調達できるんだから」と長女がただ答えたところで、弁当を作る私の気持ちは収まらないと思います。
これは弁当を作ることが表面に出ていますが、実は娘や息子に自立して欲しい(それは結婚に限らず、親と離れることだと思います。自立する気持ちがないなら、たとえ仕事をして収入を得ていても、収入のある子どもに過ぎないでしょう)気持ちがありながら、それがまったく顧みられていないことが問題なのです。
長女が自立するまでは作るかな?
私の場合、夫の弁当を作っているのに、長女のそれを作らない選択肢はありません。私にはまだ弁当を作るくらいの体力と時間があります。それなのに長女の弁当だけを作らないのは、かえって気持ちが落ち着かなくなると思うのです。
しかし、長女が私の思うような自立をするとは限りません。するとしてもそれは私が死んだ後かもしれないし、まったくしないのかもしれません。これは私にとって大きな不安です。いつもは考えないようにしているだけかもしれませんが、考えるとすごく不安で怖いです。
お母さんの手作り弁当を食べている36歳の女性のことを知り、私は『あ~、36歳なんてもうすぐじゃん。』と思いました。そして私の家族に対する不安(もう、ずっと誰も自立しないでこのままの状態が続くのか?)がどっと押し寄せたのです。
まあ、そんなに悲観することはないかも
ただ、私の母は亡くなる3ヶ月ほど前まで、当時40代後半だった弟の弁当を作っていました。やはり二言目には「いつまでこんなことをしなくちゃいけないの?」と文句を言っていましたが、弟の答えはこんなものでした。
嫌だったら、無理しなくていいよ。弁当なんてどこでも買えるんだから。
それを聞いて余計に暗い顔になった母の気持ちが今ならよくわかります。「問題はそこではないんだ、弟よ」と言ってやりたい…しかし、弟は50歳を迎えてすぐに縁あって人生で初の結婚をしました。母はすでに亡くなっていましたが。
子どもの人生は親の思いなどは無視して進んでいきます。それが良い方か悪い方かはわかりませんが、私があまり気にする必要はないのかもしれません。ただ私は母のように、死ぬまで子どもに弁当が作れるかな?それが不安なので、やはりお昼くらいは自分で何とかしろと言ったほうが良いのかな。
夫が完全に退職したら、また考えます。