先日、人気ブロガーさんが利き手を骨折、療養生活を送っているという記事を紹介しました。
父も右手が使えなかった
利き手が一切使えない生活は想像以上に大変そうです。私の父も右手が使えませんでした。49歳のときに脳出血の発作で倒れ、右半身が麻痺したためです。
まだ若いからリハビリを頑張って、と励まされましたが、リハビリの苦痛は予想以上だったようで、父は早々に右手を使うことを諦めました。
73歳で亡くなるまで、食事はスプーン1つ(なぜかフォークは使わなかった)だけを使っていたのですが、母は何とか少しでも父に回復してもらいたかったのでしょう。毎年、父に年賀状の宛名書きをさせていました。
それを見ながら当時中学生だった私は『せっかく手が2本あるのに、利き手じゃないからと使っていないのはもったいない。右手が使えなくなっても、左手がある程度使えるなら安心だ。私は、左手をもっと使うようにしよう』と考えたのです。
左手を使ってみた
折に触れて、左手で文字を書いたり、食事をしたりしていましたが、何しろ確固たる信念があるわけではなく、いつしか左手を使うことを忘れかけていました。
しかし、最近身近な人が骨折したという話を聞くことが増えました。その中の1人は右腕を骨折。日常生活に大きな支障が出てしまったのです。そしてとどめを刺すように人気ブロガーさんの骨折です。左手を使うことの大切さが急に真に迫って来たような気がしました。
それで先週辺りから1人で食事をするときは左手で箸を使うようになりました。掃除もすべてではありませんが、モップを左手でかけています。想像通り大変です。
左手には神経が通っていない?
何が大変かというと、左手は思ったように動かないのです。手の先まで神経が通っていない感じです。箸を使って食事をすることはできても、それはたまたま箸に食べ物が引っかかって口に運べるといった感じがします。
右手では軽く滑らせることができるモップも、左手ではぎくしゃくとしてうまく滑らせることができません。細かな手先を使う作業はもちろん左手では無理だろうなと思っていましたが、モップをかけることまでがこれほどできないとは思いませんでした。
しかし、左手を使っているうちに、今まで右手ばかりを使っていたために、体の使い方が偏っていたのではないかと思うようになりました。左手を使うことで、体をまんべんなく使うことができるのではないでしょうか。
そのうち、左手にも右手と同じような感覚が生まれてくるかもしれません。だからもう少し頑張って、左手を使ってみます。
利き手じゃなくても頑張っていた
もちろん、今までだって左手が遊んでいたわけではありません。食事をするときも、家事をするときも左手が対象物を抑えてくれるから、できることがたくさんあります。
私は個包装のヨーグルトを食べる時、中身をスプーンですくうのは簡単でしたが、残り少なくなったとき手で抑えないことには、どうしようもなくなりました。皿だって、スポンジで洗うだけでなく、洗う皿を持って支える手が必要です。
利き手が使えないのは、手1本分の損失ではありません。作業をする手だけでなくそれを補佐する手も使えない、2本分の損失です。
一人で利き手が使えない状態は、思った以上に大変でしょう。しかし、私の周りの人たちは80代の方でも、骨折の後はちゃんと回復しています。彼女は大腿骨を骨折しましたが、今では散歩を楽しんでいます。
骨折したブロガーさんもきっと回復して、また元気にブログ記事を公開(現在は音声入力しかできないそうです)してくれるはずです。
私は利き手ではない方の手の価値をわかった上で、何かのときにはよろしく、という気持ちを込めて、左手を使っていきます。これもなにかの備えになると信じて。