脳梗塞の後遺症でリハビリが必要になった夫の弟。専門の病院に1月12日から入院していましたが、そろそろその生活にも終わりが見えてきました。退院するにあたって、介護保険制度を利用することになりました。
病院関係者はみんな良い人なのに
一人暮らしをしている弟には、定期的にヘルパーさんなどが訪ねてきてくれた方が安心です。夫は前にもまして病院関係の人たちと話をすることが増えました。
夫によると、どの人もみな弟の今後の生活を親身に考えてくれているように思えるそうです。弟は何度か病院の関係者に文句を言って、トラブルになってしまいました(結果としては弟が一人で、もう退院すると騒いだだけでしたが)。
夫はあの人たちに文句ばかり言う弟が信じられないと言っていました。ここで私は5年前にガンで亡くなった実家の母のことを思い出しました。母も自分が入院している病院にあらん限りの文句を言っていたからです。
私の母も病院では文句ばかりだった
騒音がひどくて眠れないし、看護師さんがすぐに着替えさせに着て不愉快だわ。
薬の種類も多すぎるから、身体に悪いんじゃないかしら。
母は昔から風呂や着替えが嫌いでした。汚れがひどくないものを洗うのは水と洗剤の無駄だと言っていましたが、看護師さんは嫌だと言っても強制的に着替えさせるのだそうです(きっと何日に1度は着替えさせるというルールが決まっていたのだと思います)。
これらの文句を繰り返し言っているうちに、私はもう自宅に戻りたいのに、退院させてくれない、病院は私のことを拉致している、などとも言うようになったのです。
私は母の言葉を異常なものに感じ、医師に相談したことがあります。医師の言葉は次のようなものでした。
母は異常なのか?
急に病状が進んだ人にはよく見られることで、認知症とは違うし、その人の性格とも関係ありません。何とか上手くやり過ごして下さい。
しかし母の言葉はエスカレートするばかりでした。看護師さんに対して「触らないで!」などと大きな声を出すことも度々あり、私は何とか母が病院で快適に過ごせるように看護師さんに頭を下げることが多くなりました。
母にはそれも気に入らなかったようです。
なによ、お前は病院の機嫌ばかりとって!お前なんか病院の手先だ!
長期入院する人の心には変化がある?
母はこんなことまで言うようになってしまったのです。私は母の言動はすべて病気のせいでおかしくなっていると考えていました。
しかし弟が入院してトラブルを起こしたことで、私は気が付きました。母と弟の心の底には同じものがあったようです。長い間入院することになってしまったことで、母の心はひどいダメージを受けていたのかもしれません。
夫の弟と母は病気の種類も病状も違いますから、まさか弟がここまでのことを言ったとは思いません。でも、母の言動をすべて病気のせいだからもうどうしようもない、と諦めないで、少しは寄り添うことができなかったのかと考えるようになりました。
私が寄り添おうとしたところで、結果はあまり変わりがなかったのかもしれません。でもその努力をすれば、少なくとも私は母の死後、あれほど後悔することはなかっただろうと思います。お互いに生きていれば取り返しがつくことも、片方が死んでしまえばどうしようもありません。
入院している人には面会が大切
夫の弟のこれからに不安がないと言えば嘘になりますが、とにかく生きて退院することができるのですから、母に比べたら上出来です。そして私はせっかく発見したことを忘れないようにしたいと思います。
長期入院を強いられている人の心には、必ず変化があります。入院しているから安心と思わない方が良いのです。では、何ができるのかと言えば、話を聞くことに尽きるようです。コロナのせいで面会が厳しく制限されていいたことも、弟にとっては辛かったようです。
まあ、話を聞く自信も私にはないのですが…(理由はこちらの記事に書きました)。夫に頑張ってもらいましょう。
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