1994年に夫の実家の敷地内に新居を建て、私たち夫婦は新生活をスタートさせました。夫の実家と言っても、すでに両親は他界しており、実家では夫の祖母と弟(先日脳梗塞で倒れた弟です)が生活をしていました。
祖母がうるさいと思っていたけれど
夫の実家があるのは、昔ながらの農家が多かった地区で同居をしている家もありましたが、敷地内に若夫婦の家を建てるというのは前例がありませんでした。だから、私もそうでしたが祖母もどの程度の距離感を持って私たちと接すれば良いのかわかっていなかったのでしょう。
祖母はいかにもおばあちゃんらしい、思いやりの心を持って私たちと接しようとしていましたが、それが私には時折うるさいと感じられたのです。
しかしある一件で私は自分自身の行動を反省させられることになりました。それは今から25年ほど前、布団を干して買い物に出かけたときのことです。
布団を干して出かけたら、雨が…
我が家からスーパーまでは車で7~8分かかります。すごく遠くではありませんが、近所というわけでもありません。でも、私はすぐに帰ってくるからと布団を干したまま出かけてしまいました。もちろん、買い物に行くからと言って、一々祖母に断りを入れていませんでした。
ところがその日に限って、買い物が終わる頃に小雨がぱらつき始めたのです。急いで家に帰りましたが、祖母には散々文句を言われました。雨が今にも降りそうなのに、干しっぱなしの布団を見て気が気ではなかったと。
雨が降りそうだからと声をかけても返事がない、布団をしまってやりたくても鍵がかかっていて中に入れなかったために、祖母は近所の人になんとかしてくれと頼みに行ったそうです(どうにもなりませんでしたが)。
私に配慮が足りませんでした
例え赤の他人でも、雨が降りそうなときに布団が干してあるのを見たら、普通の人はどうしたのだろうと気になるでしょう。気が付いていないなら教えてあげようとするかもしれません。同じ敷地に住んでいる身内ならなおさらそう感じるはずです。
それを私は同じ家に住んでいるわけではないから、と祖母がどう感じるかなどは気にせず出かけてしまいました。私と祖母は赤の他人でも、夫や娘たちは祖母の肉親です。いろいろと心配になるのは当然でした。
それに、雨が降りそうだから布団や洗濯物をしまってくれと頼まれるのでは近所の人も迷惑です。祖母の気持ちを大切にすることが、近所の人たちに迷惑をかけずに済むことにつながるのだと実感し、私はなるべく祖母を不安にすることがないようにしようと決意したのです。
今でもはっきりと思い出せる
今では子どもたちも大きくなり、私も年齢的に布団を干すのが面倒になりました。もう、あのときのように毎日のように布団は干していません。しかし、今でも布団を干すなら家にいるときにしているし、たとえ少しでも干したまま出かけたりしないようにしています。
結局同居を始めて5年で祖母は亡くなってしまいましたが、いまだにその時のことを思い出すと祖母の顔や口調をありありと思い出します。誰からも忘れられてしまったときが、その人の本当の死だと言いますが、私の中では祖母はまだ生きているということでしょうか。
心配はさせたけど、まだ思い出しているんだし、勘弁してね、という気持ちです。
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