無茶

先日やっと夫の弟が退院の日を迎えることができました。脳梗塞で倒れたのが12月の初旬だったので、丸3カ月が過ぎて季節も移り変わっていました。

もともと精神の病を患っていた弟にとって、いつも他人がそばにいる入院生活は辛くて苦しいものだったようです(誰にとっても苦しいとは思いますが…)。何度も精神的に不安定な状態になり、一度はもうリハビリを中止して自宅に戻ると言って、夫だけではなく病院関係者の皆さんにも心配をかけました。

急激な回復が弟に自信をもたらした?

しかし、リハビリの効果が急に出て、一人で歩けるようになると弟の気持ちは急激に上向いたようです。確かに弟の場合は、少しずつ回復したと言うよりは、ある日を境に急に状態が改善して、歩行器を使わなくては危なっかしかったものが、ほとんど杖の助けも要らないほどになったのです。

だから、本当に弟は嬉しかったのでしょう。退院の日の夕方にはもう普段通っている床屋に予約を入れたと言っていました。それだけではなく、翌日には地下鉄を使って心療内科に行くとまで言いだしたので、私と夫は心配でたまらなくなりました。

こんなに長期の入院をしていた人が翌日から普段どおりの生活ができるものなのか、という不安がありました。私の実家の父も49歳で脳出血の発作を起こし、長期入院をした経験がありますが、最初は午前中の短い時間でも一人にしておくのが心配でした。

一人で公共の交通機関を使って外出するなんて、夢のような話だと私や母は考えていたくらいです。少しの間は近くに買い物に行くくらいにしてはどうかと私も夫も何度も言いましたが、弟は聞く耳を持たずといった態度でした。

無茶だと注意を受けた弟

退院の翌日に、弟から夫の元に電話がありました。結果として弟は無事に床屋にも心療内科にも行くことができたそうです。しかし、心療内科の医師からは、無茶のしすぎだと厳重に注意を受けたということです。

やはり1週間位は安全な自宅で様子を見て、活動を始めるのはそれからにしなさいと医師は弟に言ってくれました。私たちのもう1つの心配であった車の運転についても、医師は注意をしてくれました。当分運転はしない方が良いとはっきりと弟に告げてくれたのです。

おかげで弟は車を売る決心をしてくれました。当分私たちは弟の生活費について心配をしなくても良さそうです(退院しても、全財産が10万円の弟が心配だった記事も書きました)。

やはり赤の他人がしてくれる注意は、肉親からのそれよりも受け入れやすいのかもしれません。着実に一歩ずつ弟が普通の生活に戻ってくれたらと願っています。

私にも発見があった

私は今まで心療内科の医師というものが、よくわかっていませんでした。ちょっと胡散臭く思っていたところもあります。しかし、今回弟の暴走を止めてくれたことには本当に感謝しています。夫の表情も心なしか穏やかになりました。

そして私自身、弟を見てきたことで、世の中のどこにでも見た目は普通の人と変わりなくても、いろいろな事情を抱えた人が歩いているのだということを知りました。弟も一見、少し歩くのが遅い人くらいにしか見えないのです。しかし、もし転んで打ちどころが悪ければ弟の場合は命に関わります。

人の多いところこそ、慎重に歩く、それが誰かを助けることになるかもしれないと思っています。無茶は時として、大事件に発展し、誰かを悲しませることになります。お互いに十分に注意したいですね。

にほんブログ村 主婦日記ブログ 子育て終了主婦へ
にほんブログ村

よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました