今日読んだブログの記事に専業主婦がずるいと言われる理由が書いてありました。皆さん察しがつくでしょうが、厚生年金についてです。ご主人が会社員で厚生年金を納めている場合、奥さんが専業主婦なら第3号被保険者として将来年金を受給できるという仕組みがずるいと言われるわけです。
自営業の業績悪化で私は第3号になった
私たち夫婦は20年ほど前まで夫が自営で運送業をしていたため、国民年金に加入せざるを得ませんでした。その自営業はある会社の下請けのような存在でしたが、徐々にジリ貧になりもうやらなくて良いと断られてしまったのです。
それでやっとの思い出現在の会社に就職したのですが、そのときに第3号被保険者の制度があることを知りました。この制度ができたのは1986年のことです。国民年金に加入している方が第1号被保険者、国民年金にプラスして厚生年金に加入している方が第2号被保険者でしたが、加えて第2号被保険者の配偶者で年収130万円未満の方が第3号被保険者となったのです。
1986年以前、夫が自営業の妻はかつての私のように夫婦で国民年金に加入していましたが、サラリーマンの配偶者で専業主婦の女性は年金未加入の場合が多く見られたようです。私としては『助かった~』という思いが大きかった制度(毎月年金保険料を支払う度にハラハラしていましたから)ですが、これは国民が皆年金に加入していることが前提の日本で、専業主婦がこぼれ落ちてしまうことを防ぐために作られたようです。
無料で将来年金がもらえる、ずるいと言う人の気持ちもわかりますが、世の中の専業主婦の皆さんは私も含め、ずるいと言われるのが嫌だから掛け金を支払いますとはならないはずです。今、制度として第3号被保険者は掛け金を払う必要がないわけですから、それを無理に払うと言っても払われる方も対応に困るのではないでしょうか。扶養から抜ければ良いわけですが、それだと税金控除もなくなるためやりたくないのが本音です。
専業主婦をずるいと言う人は言う先を間違えているのでは?
世の中の専業主婦の皆さんは別に『しめしめ儲かったぞ』などと思っているわけではなく、ただ単に制度に従って生きているだけだと思います。もし、ずるいと言うならそれは専業主婦にではなく、制度を作った政治家に言うべきです。
それに年収130万円未満の人が第3号被保険者になるわけですから、パートなどで一生懸命に仕事をして、家事や育児をしている人も該当する場合があるわけです。このような人たちもずるいと言われなくてはならないのでしょうか。また、男性の第3号被保険者も出てきたら、やはりすごく非難されるのでしょうか。
専業主婦を非難する傾向が世の中にありますが、そこから得られるものは何もないと私は思っています。単に女性同士の分断が進んで、より生きにくい社会になるだけです。専業主婦を非難するよりも、専業主婦を作り出す社会を非難するべきです。
家事や育児、介護などを女性に負担させて平気な社会、これを作り出してきたのは男性だけではないはずです。私たち女性にも、女性なら料理ができないと恥ずかしいとか、掃除は行き届いていて当たり前などという頑なな気持ちがなかったでしょうか。男性からも女性からも偏見がなくなれば、誰もが働いて年金保険料が支払える社会になるのではないかと思っています。
とにかく現状、世の中にすでにある制度を使っているだけなのに、非難されるって結構辛いです。それに各家庭によって育児や介護などの事情があるでしょうし…それにしても、年金制度も選べると良いのに、と思います。加入しない選択もあって良いし、加入するときもいくつかパターンがあって好きなのが選べるとより良いのではないでしょうか。
ここまで文句を言われる日本の年金制度、支給開始もドンドン遅くなっているし、そろそろ廃止も視野に入れなくてはいけないときに来ているような気もします。