長女は幼い頃から絵を描くことが大好きでした。口癖は「(絵を描くから)紙ちょうだい」、「漫画家になる」でした。私自身も同じことをいっていましたが、私と違っていたのは、長女は中学3年生になっても、同じことをいっていたことです。
絵画教室に通わせなかったが、美術科に進学?
以前にも書きましたが(こちらの記事です「子どもの習い事について」)、私は子どもの習い事のための送り迎えさえ、嫌がるような人間です。長女を絵画教室に通わせようとは考えませんでした。絵は描き方を習ったからといって、上手になるものではないと考えていたし、長女の絵が、先生のものに似てしまうのも、絵画教室に通わせない理由でした。
中学生になった長女は、勉強にはまったく興味がないようで、テスト勉強などもしたことがありませんでした。高校に進学する意義も見出せないでいるようでしたが、そんなときに県立で美術科がある高校のことを知りました。
そして唐突に美術科に進学したいと、私と夫に言い出しました。てっきり勉強が嫌いだから、美術科に進学するといっているのかと思い、私と夫は止めました。普通科に通って、それでも美術がやりたかったら専門学校や大学に進学する道があるのではないかと、長女に伝えたのです。
受験をするには、どうすればよいのか?
もし大学に進学するとしても、実技のテストがある、高校から技術を磨いておいた方が有利だから、どうしても美術科の高校に進学したいというのが長女の言い分でした。親のいい分も十分に伝えたし、これ以上反対して、無理に別の高校に進学しても、きっと長女の心に一生、思うように学校を選べなかったという後悔が残ってしまうだろうと、夫婦で判断して、美術科のある高校の受験を受け入れました。
長女が受験したかった高校は、当時面接と実技試験(デッサンと後1つ何かあったようですが、忘れました)のみを行い、後は内申書次第で合否が決まるということでした。長女が通っていた中学では、前例があまりなかったので、担任の先生からもどうしたらよいのかわからない、といわれてしまいました。
そこで私の素人考えで、美術の先生に娘のデッサンを添削してくれるようにお願いしました。先生は快く添削を引き受けてくれ、面接に役立つだろうからと、長女に画集をくださいました。きっと面接で好きな画家について聞かれるから、この画集から好きな画家を探しておくとよい、とアドバイスをしてくれました(実際に先生のいった通りのことを面接で聞かれたそうです)。
内申書についてはもうどうしようもありませんでした。これが後の祭りということだったのでしょう。でも、長女とは、これで合格できれば本当に絵の実力があった証拠だね、と言い合い、前向きな姿勢を保ち続けました。
高校進学から今まですべて自分で決めた結果
面接、実技があるため、2日間も受験会場に行くという体験をした後(私たち夫婦は普通科しか受験したことがなかったので、とても珍しかったです)、無事に長女は高校に合格しました。
高校を卒業した後は美術系の専門学校に4年通い、今は漫画だけではまったく食べていけないので、アルバイトと2足のわらじを履いています。高校から専門学校への進学、現在のアルバイトも、もちろん漫画の原稿を出版社に持ち込むのも、すべて長女が自分で考え、行動した結果です。
どうしても自分のやりたいことは、自分で掴み取るものなんだな、と長女を見ていて実感しました。それはある意味爽快でした。親である私と夫は、援助とか応援のような助け方をほとんどしませんでした(学費は出しました)。でもその分、口も出さなかったことが結果として長女のジャマをしなかったようです。
子どもの生き方に学ぶことがある
これから長女がどうなるのかは誰にもわかりません。もし良い結果が待っていれば、それは自分の力で掴んだ成功だと、私は思っています。
子どもが学生という人は、2月には次々と進路が決まっていこことでしょう。中には納得できない進路もあるかもしれません。でも、もしそれが子ども自身が決めたことなら、見守ってあげるのもよいのではないでしょうか。
本当にそれがやりたいことなら、子どもも簡単には投げ出さないはずです。子どもの価値と親のそれは違います。親には人生経験がありますが、子どもには新たな情報や感性があります。どちらが正しいとかよいとかは、一口にはいえません。
それに子どもが自分で掴んだものを見ていると、こんな生き方もあるんだと、親の方が新たな生き方を学ぶこともあります。
最後に絵画教室についてですが、長女にいわせると、最初に基本を教えてもらった方がよかったそうです。通わせてくれたら、ありがたかったといっていました…。まあ、私がやることなんて、こんな結果になるのです。
コメント
先日は失礼致しました。お詫び方々、また参りました。
お嬢様が漫画家を目指しておられるとの事、素晴らしいし羨ましいです。私も絵が好きで(手塚治虫世代です)漫画家になりたかったのですが、難しい道でした。大学は畑違いでも、美術を学んでいない漫画家さんもたくさんおられる事を後で知り、自分の夢はその程度だったのだと思います。でも趣味として、アニメ雑誌にイラスト投稿などを最近までしていました。楽しかったです!
うちの娘は、小さい頃から物を作ること(複雑なレゴや、恐竜のプラモデルとか)が好きでした。夫がゼネコンの技術者だった背中を見ていて、「自分がいなくなっても残る物を造りたい」と、父親と同じ道を選びました。今は某スーパーゼネコンで、まだ少ない女性技術者として頑張っています。
子供に教えられることがたくさんあるのは同感です。そして夢は見るだけでなく叶うものだということも。
こちらこそ、先日は失礼しました。
葉月さんのお嬢様は、お2人のよいところを受け継いだのですね。
堅実にお仕事をされている様子は、何ともうらやましいです。
我が家の長女は誰に似たのか見当も付きませんが、毎月小さな作品のために頑張っているようです。
わざわざ、コメントありがとうございました。