先日、記事に書いた埼玉県の虐待防止条例改正案が取り下げとなりました。埼玉県民だけでなく、他県民からも不安の声が多くあがったのでしょう。
今の日本では無理ではないかと思った
改正案は低学年の子どもだけでの登下校や公園での遊び、お使いなどはすべて禁止という内容で、これを行うと虐待とみなされます。多くの子育て中の方から反対の声が上がったのも納得です。この条例を守るとなれば、親1人が子ども1人にかかりきりになる必要があります。
もしかすると、それでもふとした瞬間に条例が守れなくなるのではないかと私は思います。親も人間ですから、眠くなれば眠ってしまいますし、トイレにも行きたくなるでしょう。その間も、子どもから目を離さないのは実際に不可能です。
改正案では、回覧板を回すために100m先の家に行く、ゴミを捨てるために家をあける、この間も子どもだけで留守番をさせれば放置とされていました。この例を見るだけでも、追い詰められた気持ちになった人は多かったのではないでしょうか。
自民党埼玉県議会議員の方は、改正案を取り下げるとして会見を開き「安全確保(留守番中は火を使わないなど)がなされている家庭については子どもだけで留守番をさせたとしても、虐待と糾弾するつもりはなかった」という内容の話をしていました。
しかし、先程の例を見る限り、私にはとてもそんなふうには思えませんでしたし、実際に私と同じ思いをした方も多かったのでしょう。ですから、これほど短期間に反対の声が高まり、それが結果として改正案の取り下げに繋がったのだと思います。
これで一安心ではない
ただ、改正案が取り下げられたことですべてが丸く収まったわけではありません。今回の改正案は、海外では標準的な内容です。
私もアメリカに駐在経験がある人から、「アメリカでは子どもだけの留守番もお使いも全部虐待になるの。すぐに通報されちゃうから、最初はびっくりしたよ」と話を聞いたことがあります。
そうしなくては子どもの安全を守れない国が実際にあり、もしかすると日本も同じような状況になりつつあるのかもしれない、このことを忘れてはいけないと思います。
そうして、子どもの安全を守るために大人は何ができるのかを真剣に考えるべきです。自ら考えて行動しないと、結局は虐待防止条例に締め付けられなければ、子どもの安全を守ることができなくなるような気がします。
しかし、こうして世論が政治を動かす場面を実際に見ると、気持ちが良いですが、それならもっと他のことも私たちが動かせるのではないかと思えてきます。それでもう少し暮らしやすい世の中になれば、自動的に少子化が解消するかもしれませんね。