先日、都内で開催されたイベントで腐ったマフィンが販売されたことが大問題になりました。最初はSNSで取りざたされていただけでしたが、結果としてテレビのニュース番組でも報道されたため、ご存知の方も多いでしょう。
販売されたマフィンは、子どもを育てている主婦の方が、材料に気を使い、砂糖なども減らして作っているため、健康的に食べられるおやつというふれ込みだったそうです。
私は自分の子どもに安心して食べられるおやつを作っているお母さんの姿を想像しましたが、そこにはいくつもの落とし穴がありました。
食べ物を扱うのには責任があるが
マフィンを作った女性は自宅の一部を改装して、焼き菓子専門店を営んでいました。オーブンも家庭用とそれほど変わらない大きさだったといいます。きっと少数のお客さんを相手にしているだけなら、問題はなかったのでしょう。
しかし、今回のイベントで販売するために、女性は一人で数千個のマフィンをそのオーブンで焼いたそうです。時間がかかることが予想できたため、イベントの5日前からマフィンを製作。出来上がったものは18℃に設定してクーラーをかけた部屋の中で保存していました。
だから、最初に作ったものを食べた人は運悪く、体調を崩してしまったのです。なぜそんな無謀なことをしてしまったのか?彼女を非難する人は多いです。私も彼女がやったことは許されることではないと思います。
私が家族のために料理をするときでも、食中毒にならないように気を使います。自分が作ったもので家族が体調を崩したら、いたたまれない気持ちになるからで、それはどんな人でも同じはずです。
お金を取って食べ物を売る立場なら、家庭内で調理をするときよりももっと気を使うでしょう。だから、それを怠った彼女は非難を受けても仕方がないし、謝罪や補償をしなくてはならないと思います。
彼女がマフィンを販売する目的とは
しかし、彼女がなぜイベントでマフィンを販売しようとしたのかを考えると、少し気持ちがわかるような気がするのです。
彼女は力試しをしたかったのではないか、と思うのです。家事をしながら仕事をしたい、と考えると道は限られてきます。パートやアルバイト、もしくは内職です。職種は選べないし、収入は少ないものです。
自宅を店に改装して、自分がやりたかった焼き菓子を販売するなら、実力いかんで収入は伸ばせると彼女は考えたのではないでしょうか。労働時間は増えるかもしれませんが、やりたいことをやるわけですから、苦にはならないと私も思います。
それまで家庭の中だけで喜ばれていたことが、他の誰かにも喜んでもらえるとき、彼女は自分の力を実感できたのではないでしょうか。対価として得られる収入は、単なるお金ではなく自分の実力を示す輝かしいものだったのだと思います。
だから、彼女は小さなオーブンを使い、一人でコツコツとマフィンを焼き続けたのではないでしょうか。それは自宅でWEBライターをしていた私の姿にも重なります。ずっと家族のために、と生活をしていると、自分が果たして何者なのかがわからなくなることがあるのです。
それにいくら家族のために家事をしていても、直接的に収入に結びつくわけではありません。誰にも遠慮せずに使えるお小遣いが欲しい、と思うこともあります。
ただ、大きな勝負に出る時は、やはり準備が大切になります。果たして彼女がそれをちゃんとしていたのか…自宅で小さな商いをしているときにうまくいっていたとしたら、油断をしてしまったのかもしれませんね。
彼女と私はまったく関係がありませんが、なぜか彼女が非難されるたびに、ちょっと心がチクチクします。こんなことをクドクドと考えているからでしょう。まあ、これは私が考えているだけで、彼女の中の真実などわかりはしませんが…