夫婦ゲンカを子どもに見せるなというけれど

夫婦 家族

夫婦げんかは子どもに見せてはいけない、というのはもはや常識でしょう。確かに子どもに不安と恐怖を与えそうです。でも、ケンカをする方も理由があってしているのですから、ただ子どもの目の前でしなければ、問題はないというものではなさそうです。

我が家では、ケンカがこんなふうに起こる

なぜケンカをするのかといえば、私の場合は自分の言い分が認められないときにケンカになります。夫が体調が悪いのに酒を飲み過ぎる(酔った挙げ句に部屋に放尿したことも…「夫の放尿事件!」)、酒に金を使いすぎる(かつてはパチンコでした)、自分にも仕事があるのに何でもかんでも引き受けてくることについてケンカになることがよくあります。これらのことは私としては、賛成できませんから辞めて欲しいと伝えます。そしてそれは受け入れられずに、ケンカへと発展するわけです。

ほかにも私が家事をしているのに、やたらと何かを要求してくる(背中をかけとか、肩をもんで欲しいなど要求が通るまでいい続けるので、たいへんうるさい)ときにも、ケンカになります。

本当はお互いの落とし所を見つけて、妥協するのがよいのでしょうが、お互いに落とし所を自分に有利なように持っていこうとしているので、ケンカになるわけです。私たち夫婦は大学時代の同級生なので、精神構造や精神年齢がよく似ているようで、ケンカはかなり激しい言い争いになります。

夫婦ゲンカは親譲り?

実は私の両親も言い争いばかりしていました。原因は父の酒の飲み過ぎと収入についてです。この2つの問題はとても密接に結びついていました。つまり父の酒の飲み過ぎが、収入を圧迫してしまったということです。私も中学生くらいまでは、2人のケンカが嫌でたまりませんでした。泣きながら止めたこともあります。

自分が結婚して、言い争いがばかりの夫婦になったときは、本当に落ち込みました。自分は暖かな家庭が作れない、結婚には向いていないと考え、このまま結婚生活を続けてもよいのかと悩みました。夫の実家では父と母が早く亡くなったため、夫は夫婦ゲンカなどは見たことがなかったようです。このことからも、私は自分のせいで結婚生活がうまくいかないと思い詰めました。

でも、私が何とか踏ん張ったのは、言い争いばかりだった父と母の姿を思い出したからでした。あれほど言い争いばかりだったのに、父が49歳の若さで脳卒中の発作を起こし、2度と働けなくなってからは母が正社員として働き、家計と父を支えました。だから、私だけが特別じゃない、こんな夫婦がいてもよいんだと思えたのは、父と母のおかげかもしれません。

ケンカをしなければ、それでよいのか?

もし父と母が模範的な夫婦だったら、私は今どうしていたかと思うことがよくあります。おそらく私は夫婦であることを諦めていたのではないでしょうか。もちろん夫婦ゲンカはしないで済めば、それに越したことはありません。でもケンカをしないことだけに、集中してしまうのは何かが違うのではないかと思います。顔を合わせなければ、物理的にケンカをすることはできません。ケンカを避けるのに一番の方法は一緒にいないことになってしまいます。

長女の友人が私たち夫婦を見て、これでよいんだといってくれたことがありました。友人の両親は離婚をしましたが、友人の父はケンカをすることから逃げていた、と友人はいっていました。『向き合うことを避け、ケンカから逃げて離婚という結果になってしまった。ケンカはした方がよいんだと今は心から思っている』という言葉がとても私の心にしみました。

別居も離婚も決して悪いことではありません。それで健全な生活が送れるようになるなら、よいのですが、家族全体に与える影響は決して小さくありません。今ある姿を受け入れることで、また一緒に生活できるようになるなら、よいのではないかと思うのです。一緒に歩んだ先には、きっとこの世で最大の達成感が待っているのではないでしょうか。

ケンカの原因から考えたい

とはいえ、夫婦ゲンカを見せられた子どもは脳が変形するともいわれています。子どもへのこれ以上の悪影響を防ぎ、 ケンカを通じて夫婦の距離を縮めるためにも、なぜケンカをするのか、原因を考えた方がよさそうです(これは自分自身に対していっているつもりです)。

ケンカをしっぱなしで、距離が縮まることはないでしょう。 自分はあるいは相手は、なぜこんなことでこんなに腹を立てるのか、嫌がるのか考えるところが新しい出発になるかもしれませんね。

嫌というほど、父と母の言い争いを見て育った私の脳も変形しているのかもしれません。でも、変形していない場合と比べることもできません。ただ、世の中には理不尽なこともたくさんあります。私の場合、それを最初に知ったのが父と母からでよかったと今では思っています。今の自分を肯定したいだけかもしれませんが…

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