緊急事態宣言が日本中に出されて、とにかく家にいようということになっています。普段と生活が変わってしまった人の中には強いストレスを感じている人も多いのではないでしょうか。
一家勢揃いに不満を訴えたのは?
我が家でも夫と長女が自宅待機になりました。まだ10日ほどしかたっていませんが、一家全員がこれほど長い時間ひとつ屋根の下にいるのは、初めての経験です。
この生活が始まり、一番に不満を訴えだしたのは、意外なことに次女でした。我が家の次女は大学2年生のときに引きこもりになりました。現在24歳ですから引きこもり生活も4年目に突入しています。
まず次女がいい出したのは、家の中の人口密度が高いということです。我が家は4人家族が住むのには、平均的な3LDKです。LDKは12~13畳ほどの広さがあるので、それほど狭苦しいとは感じません(私自身がとても狭い家で育ったため、そう感じるのかもしれません)。もともと次女はほとんどの時間を自分の部屋で過ごしているので、何の影響もないはずです。でも、次女にとっては家に人が多すぎて、落ち着かないのだそうです。
閉塞感に乗っ取られた次女
私は話だけを聞いていましたが(だって自宅待機になるのは仕方がありません)、そのうちに次女は出かけたいといい出しました。メガネの度が合わない、ドライアイかもしれない、髪の毛を切りたいなど次々に出かけるための理由が出てくるようになりました。
次女には今まで散々時間がありました。メガネやドライアイの件は私も知っていて、早く行けば、と促したこともありましたが、その度に理由を付けて外出を渋っていたのです。今、この時期に行こうといわれても、私も一言、いわずにはいられません。
本当に今でないとダメ?外出はおすすめしないよ。
私ももう何年も外出は買い物くらいでしたが、それでもひどい咳が出るようになり、近所のかかりつけ医を受診したばかりです。この時期カゼのような症状では、コロナの怖れがあるため、病院に行くのもままなりません。次女の出かけたい理由は私にとっては不要不急としかいいようがありません。メガネの度が合わないのは不便でしょうが、それならもっと前に作っておけばよかったのです。
閉塞感は目に見えるわけではありませんが、次女を通して、輪郭くらいはつかめたような気がしました。次女が熱心に出かけたいと訴える姿は、閉塞感という妖怪に乗っ取られた人のようでした。
多くの人が乗っ取られている
今、日本中に同じ妖怪に乗っ取られた人が多くいるようです。だから緊急事態宣言の最中に混雑する場所が出てくるのでしょう。体を動かしたい、気分転換したいなどという理由を語っている人の姿もテレビで放送していました。
私たちの多くは今まで外出を制限されたという経験はありません。どうも行くなといわれると、行きたくなるし、出るなといわれると出たくなるのが私たち人間の性(さが)のようです。食事制限も、食べちゃダメだと思った瞬間に食べたくなりますよね?
外に出たいのは、もしかしたら妖怪に乗っ取られたせいかもしれない、ともう一度考え直してみるとよいかもしれません。
次女は今、真剣に緊急事態宣言の解除の日を待ち望んでいます。今の状況は安心して引きこもりもできない非常事態ということなのだろうと思います。何だか興味深いです。