「JIN-仁-」の再放送を皮肉に感じた

江戸時代の町並み コロナ

新型コロナウイルスのせいで撮影が進まず、テレビは再放送だらけになってしまいました。先週末は私も咳がひどくて辛かったですが、TBSの日曜劇場で放送していた「JIN-仁-」を久しぶりに見ました。

江戸の人々と自分たちの姿が重なった

あらすじはもうご存知の人が多いでしょうが、幕末の江戸に現代の青年医師がタイムスリップするという、時代劇にSFの要素が入った年代や性別に関係なく楽しめるドラマです。先日私が目にしたのは、コレラが江戸で大流行するという場面でした。

コレラと見るや恐怖のあまり、病人を遠ざけて自分だけ逃げようとすることでパニックが起こる様子は他人事に思えませんでした。放送当時は、その場面を見て『医療の発達していなかった時代は本当に大変だったんだな』などと思っていました。でも、江戸時代と比べて格段に医療が発展しているはずの現代で、新型コロナウイルスに対する私たちの態度は、ドラマに登場する江戸の人々とそれほど変わりません。

ドラマでは主人公の南方仁のもとで人々が集結し、コレラと戦います。でも、現在あまりの患者の多さに医療従事者の方々は疲れ果てています。私たちに南方仁はいないのです。

所詮はやり過ごすことしかできない?

ネットでは今こそ見たいドラマとして、JINを紹介している人もいますが、実際に見た私には現代人に対する大掛かりな皮肉としか受け取れませんでした。今やコレラになることはほとんどありませんが、代わりに次々と別の病気が出てきています。

JINでのコレラとの戦いは、積極的にウイルスを叩くものではなく、何とか死なないように体に水分を補給するというものでした。人間たちはウイルスの猛威に対して、何とかやり過ごして、時間稼ぎをしながら、ウイルスとの落とし所を見つけて来たように感じられます。

かつて肺結核は過去の病気とされました。一見病気に勝ったようでしたが、人間が警戒を緩めた途端に、また肺結核にかかる人が出て来ました。2011年にタレントのJOYさんが肺結核で入院したことを覚えている人もいるでしょう。

明日が来ることを信じたい

勝ったと思っても、また同じ敵が向かってくるし、次々に違う敵にも対抗しなくてはなりません。JINでコレラに苦しむ人の姿は、私たちそのものであり、未来の姿でもあると受け取れます。

JINを見ていると、人間の社会が続く限り、新しいウイルスとの戦いも続くのだといわれているような気分になりました。 人間が完全に撲滅したといえるのは天然痘だけだそうです。私たちは決して病気には勝てないという事実を突きつけられました。

病気の原因になるウイルスは取り付く先の人間が死んでしまっては、自分も生き残れなくなります。だから、徐々にそれほど害のないものに変化する可能性もあるそうです。私たちが新型コロナウイルスで死滅してしまうことはなさそうです。それを希望にして、新たな病気との付き合い方を考えていけたらよいと思います。まあ、今は難しいことでしょうが…

こんなにいろいろと考えさせられるので、やはり「JIN-仁-」は今こそ見るべきドラマなのかもしれませんね。

タイトルとURLをコピーしました