今から20年以上前、今年25歳になる次女がまだ赤ちゃんだった頃でした。お盆休みの夫と私たち家族は近場の温泉地まで旅行に出かけました。
当時幼稚園の年少さんだった長女に、初めての夏休みの思い出を作ってあげようと思ったのですが、帰って来ると、自宅の周りに異変が起こっていました。
自宅の周りの雑草がすべて枯れていた
その異変とは、自宅の周りに生えている雑草がすべて枯れていたことです。夏のお盆の頃で、雑草が勝手に枯れるとは考えられません。夫はすぐに「ばあちゃんの仕業だ!」と叫んで母屋に文句を言いに言ったのです。やはり祖母が私たちの家の周りに除草剤を撒いていたのでした。
夫の両親は早くに亡くなったため、私たち一家は夫の祖母と同じ敷地内に住んでいました。明治生まれの祖母は、草むしりも手早くキレイで、家の周りには草一本生やさないというポリシーがあるようでした。家の中だけキレイに掃除していても、外が雑草だらけなのはだらしがないと思っているようでもありました。
だからといって、祖母は決して私を非難していたわけではありません。まだ幼い子を抱えて、草むしりもできないだろうと思いやっていてくれたようです。そこで祖母は私たちの手伝いをしようと考えたらしいのです。
草が枯れているのが怖かった
それが私たちが旅行中に除草剤を家の周りに撒くということでした。なぜ、旅行中かと言うと、夫が常々除草剤は嫌いだ、小さな子どもも遊ぶ庭に絶対に撒きたくないと言っていたからです。一度使えば、除草剤は便利だし、それほど危険なものではないと夫もわかってくれる、祖母はそう考えたようです。
私はそれまで草むしりは大変だから、除草剤を使うのも仕方のないことだと考えていましたが、実際に目の前で雑草が枯れているのを見ると、何だか怖いような気持ちになりました。
そんな薬を私たちがいない間に撒いたのだと思うと良い気分にはなりませんでしたから、夫の言っていることもわかりました。
いろいろな考えがあるって、難しい
祖母にしてみれば草ぼうぼうの家を見ているのも限界だったのでしょう。それに祖母も草むしりが上手だったとはいえ、当時すでに80歳を越えていましたから、体がしんどくなってきて、除草剤に頼らざるを得ないという心境だったのかもしれません。
夫だって今は除草剤が嫌いだと言ってはいても、これから先、祖母と同じ心境になるかもしれないのです。どちらの意見が良いのか、結論は今でも出ないままです。
やり過ぎだったと思わざるを得ない
先日、若い人のブログを読んだときに、自宅の横に置いてあったビニールプールが、夫の父と母によって自分の知らない間に動かされたのが嫌だったという記事がありました。それも良かれと思ってしたことだったのでしょう。
思わず、私はこう考えてしまいました。どんなに嫌だとしても、ビニールプールがそれで壊れるとか変質するわけではありません。しかし、除草剤が枯らした草は元には戻らないし、土に染み込んだ薬は取り去ることができません。
今になると、やはり除草剤を撒くのはやり過ぎだったよ、ばあちゃん…と言いたい気持ちでいっぱいです。除草剤を使う使わないは、その人の自由ですが、それを押し付けてはいけません。祖母は孫夫婦との距離感が、うまくつかめなかったのかもしれませんね。