母の四十九日法要を予約するために、実家のお墓がある霊園に出かけたことがありました。四十九日くらいは、お坊さんを呼んでお経を上げてほしいけれど、霊園で簡単に済ませて欲しいというのは、生前から母にいわれていたことでした。もう、5年前の話です。
予約窓口で夫の存在に困る
私は1人で大丈夫だといったのですが、どうしても、といって夫が同行しました。四十九日法要の予約などは、始めての経験だったので(夫の家では、もう何度も経験がありますが、私の実家の法要の予約をするというのは、始めてのことでした)、心配だったのかもしれません。
でも、私が窓口の女性と話をしているのに、夫は「あれはどうなっている?」、「これを忘れていただろう」と大きな声でいうのを止めません。私は忘れていたわけではなく、次にいおうと思っていただけでしたが、夫は大きな声でしゃべリ続けました。理由は口に出していないと、私の手続きに不備ができるから、ということでした。
横で大きな声でしゃべり続けられて、私は気が散り、窓口の女性ともうまく会話ができなくなってしまいました。何とか予約を終えた、帰りの車の中で、私は誰かと話している最中に、あんなに大きな声で邪魔をされたら困るし、私もいい年をして、夫に怒られているのを誰かに見られたくない、と伝えました。いいたいことがあるなら、2人のときにいうとか、せめて会話の切れ目を待っていって欲しいともいいました。
私の指摘にショックを受ける夫
夫は心底驚いたようでした。そしてその後怒り出し、私が後から困らないように、先にいってあげているのに、その態度はひどすぎる、と反論してきました。
「俺は怒っているつもりはない。本当にお前のことを考えていっただけだ。声だって、特に大きくない、いつもと同じ大きさでしゃべっているだけだ。でも、だからお前は1人で行きたいといったのか?」
私は夫の言葉に黙って頷き、それから夫は1言もしゃべらず、30分以上を黙ったまま車を走らせました。話はこれで終わりです。この日の夕食のときには、夫も私も、もう普段と変わらない態度になっていたし、この後この日のことについて話題にしたこともありません。
ただ、普段の夫婦ゲンカなら、もっと怒って私も大きな声を出したりするのですが、その日の私は、ただ悲しくて静かに話をしたので、夫にも通じるものがあったのかもしれません(これは私の希望的観測に過ぎませんが…)。最近になっていろいろなブログで、モラハラを夫から受けた話を読む機会がありました。そのときに、今の話を度々思い出したのです(もちろん程度が違いますが)。
気を付けて!親切のつもりがハラスメント?
私はあれもモラハラの1種だったと思っています。そして夫には本当に悪気が無かったのだということも実感しています。だからモラハラを始めとするハラスメント行為は、誰でも受ける事があるのと同時に、自分がしてしまう事があるのだと思います。
生きていると誰でもハラスメントとの関わりができてしまうことを、まず認めないと私の夫のように親切のつもりがハラスメントと受け取られてしまうことが無くならないのではないでしょうか。これは私も気を付けたいと思っています。
夫はよく会社の若い社員に、自分のことがわかってもらえない、相手の成長を願ってよかれと思ってしていることを誤解される、といっていましたが、私は夫のいい方や態度では無理もないな、と思っています。夫はただのモラハラの先輩だと思われているのではないかと思い、とても心配していますが、この5年前のことが少しでもよい方向に作用してくれていることを願っています。
モラハラを受けたと感じた人は、ハラスメント行為を無くすためにはどうしたらよいのかを考えられるようになるのではないでしょうか。ひどい体験で思い出したくないでしょうが、ぜひ、ほかの人たちのために役に立てて欲しいです。