有名人の自死が公表されるたびに考える、残された人たちのこれからのこと

残される人たちのこれから 生活

誰もが知っている有名なタレントさんが亡くなりました。まだ27歳、ちょうど我が家の娘たちと同年代です。タレントさんは最初男性として活動、女性と結婚して一児をもうけましたが、その後で本来の性自認に従った生き方をするようになりました。

結婚して妻となった女性とは離婚して、自分は女性として生きることにしたようでした。テレビ画面越しでも、彼がどんどんと女性らしくなるのがわかり、それが世間の注目を集め、バッシングへと繋がったこともあったようです。自分らしく生きることを追求した彼でしたが、バッシングは精神を蝕んだのでしょうか。結局自死を選んでしまったのです。

夫の母も自死を選んだ

このようなニュースを聞く度に、私は夫のことを思います。夫は自分の母親を自死で亡くしています。母が亡くなったとき、夫は大学2年生でした。父親はすでに小学3年生のときに亡くなっていました。夫は母が亡くなったことを一人で耐えるしかなかったのです。

別に夫は一人暮らしをしていたわけではなく、家の中には祖母もいましたし、弟2人もいました。すぐ近所には親戚もたくさんいたのですが、父を亡くしたことで迷惑をかけたことを夫は自覚していましたし、祖母と弟は自分が支えるべき存在でした。夫は誰にも弱みを見せることはありませんでした。

私が結婚してから、祖母や弟たちは情緒不安定な部分があり、一緒にいるのが鬱陶しいと思うことがありました。しかし、夫には特におかしな部分はなかったと思います。もちろん私と夫は、普段から仲が良いわけではなく、喧嘩になることも度々でしたが、それは夫のもともとの気質であり、母の自死の影響は感じられないと思っていたのです。

今、この年齢になって考えると、夫もきっと大変だったはずです。母が自死したとき、母と祖母は仲が悪かったそうです。祖母が死の原因だと悪く言う人もいたそうですが、夫にとっては祖母も大切な家族でした。母の代わりに夫たち兄弟を育てたのは祖母だったからですが、どちらにも肩入れしない夫を冷たいと言う人もあったようです。

影響がないはずがない

夫はたまに毒を吐くように先に亡くなった父母と、身の回りの後始末をきちんとしないまま亡くなった祖母の悪口を言っています(老朽化した母屋や倉庫を解体するのは夫の務めになりました…)。もう、言っても仕方のないことですし、聞いている私も嫌な気分ですが、それこそ夫は毒を吐かないと自分がやられてしまったのに違いありません。

自ら死を選んだ人に本当の理由を尋ねることはできません。後に残された人はいろいろなことを考えるでしょうが、すべて憶測に過ぎないです。ただ、確実に言えることは家族が亡くなったとき、それも自死だったとき、与えられる影響は少なくないということです。

母が自死した影響が夫には感じられなかったと言いましたが、今考えるとちゃんとあったのでしょう。夫は結婚して実家の敷地内に住むようになったとき、よく「もう誰にも迷惑をかけたくない」と言っていました。これは父母が亡くなり、祖母と学生だった夫たち兄弟だけが残ったために、近所の人たちが自治会の役員やゴミ集積場の掃除を肩代わりしてくれたからのようです。

もちろん近所の人たちは好意でやってくれたのです。そのときに「親が先に死んじゃったんだから、仕方がないよ」と言われたようです。夫はそれを親が居ない家は不完全だから、と言われたような気になったのでしょう(本当に親がいないから、ちゃんと教えられていないんだね、と言われたこともありました)。

もちろん私だって、そんなことを言われたら引っかかるでしょう。しかし、夫の場合は母の自死が原因で、もっと大きな引っかかりを感じてしまったように私には思えます。

母の自死はもう40年も前のことです。それでも、その影響は消えることなく、時折顔をのぞかせるようです。今回亡くなったタレントさんの元奥さんとお子さんはそれを忘れず、十分に注意して生活して欲しいと思っています。亡くなった人、残される人、どちらも辛いでしょうが、残された人たちのこれからは長いですよね…

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