9月18日、敬老の日に夫の叔母が亡くなりました。
さすがに取り乱したりはしていませんが、早く両親を亡くした夫にとってはかなりの痛手になっていることがわかります。この数日、夫は事あるごとに「叔母さんには世話になったのだから」と口にしていますが、私にはあまりピンと来ていません。
いくら話として知ってはいても、私と夫が結婚してからは、別に夫が叔母に世話になったとも思いません。それどころか結婚して最初の頃、私は叔母のことが幾分苦手でした。
苦手だった理由
叔母はとにかく物をくれたがる女性で、私たちが家を新築したとき、どんなに断っても天照大御神の掛け軸を贈られたのが忘れられません。「普通、家を建てたらこの掛け軸を飾るもんだよ!」と強い口調で言われましたが、結局どこかにしまい込んだきりです。
また、遠慮のない性格でしたが、それが行き過ぎたところがありました。長女が幼い頃、夕方お風呂に入れていたのですが、叔母は突然訪ねて来た挙げ句に「あら~、お風呂に入っているの」と言いながら、風呂場のドアを大きく開け放ったのです。
風呂ですからこちらは全裸です。あのときは、本当に腹が立ちました。しかし、あるとき私はふと何もかも腑に落ちたと実感して、叔母のことがまったく苦手ではなくなりました。
叔母の言葉のすべてが腑に落ちたとき
それは敷地内同居をしていた祖母の具合が悪くなり、いよいよ危なくなったときです。叔母はことあるごとに、口を出してきました。
ばあちゃんの入院するところは、私が行きやすいところにして。そうしたら、私が毎日行くから。ゆみこねこちゃんは行かなくていいから。
私としては、敷地内同居をしている以上、私が主になって祖母の面倒を見るべきだと思っていました。だから、叔母のことをなぜこんなに口を出してくるのかと、腹立たしくさえ思っていたのです。私や夫のことを信頼していないのではないかとも思いました。
そんな中で祖母の病室に行っていたとき、叔母が「帰りにうちに寄って、ご飯を食べていけばいい」と誘ってくれました。そこで叔母と話しているうちに、叔母は本当に祖母(叔母にとっては母親)のことが心配でならないし、祖母が孫の厄介になっているのを見ていられないのだとわかりました。
叔母は自身の兄(夫の父)が39歳という若さで亡くし、その妻も12年後に亡くなっています。その不幸のために、長男であった夫が祖母の面倒を見ることになったのをとても痛ましく思っていたようです。それで、自分でできることならといろいろと口を出していたのでしょう。
叔母が別に私にそんな説明をしたわけではないですが、祖母の病室に毎日通う叔母の気持ちを聞いているうちに、突然何もかも腑に落ちたと思え、それからは叔母のことが一切苦手ではなくなりました。
明日は葬儀
叔母は自分の肉親ならとことん愛するといったふうで、夫の弟(次男)が不倫相手のもとに走ったときも、決して弟を責めませんでした。
次男が悪いことをしたことはその通りだ。奥さんや子どもたちにも申し訳ないと思うよ。でも、私はどうしても次男のことが心配だし、可愛そうだ。
こう、はっきりと言っていましたが、それも私には頼もしいことのように思われました。確かに弟がしたことは許されることではありませんが、1人くらいは弟の味方でいる人がいても良いでしょう。
甥っ子にまでそんな愛情を持っていた叔母(愛情ゆえの暴走や迷走もありましたが)。きっと自分の家族にはもっと深い愛を注いでいたことでしょう。
明日はいよいよ叔母の葬儀です。祖母が亡くなってからもう20年以上経っていますが、何だかあっという間でした。これでは私の終わりもあっという間に来るのでしょう。叔母と最期のお別れをしてきますが、家族のことを考えると気の毒で、少し気が重いです。