「絶対に捨てないで!」
「触らないでこのままにしておいて!」
私の夫はよく強い口調でこんなことを言います。大体黙って言うことを聞くのですが、これはいくらなんでも放置しすぎではないかと思ったものがありました。それは夫の防寒具です。上下揃いになっていますが、ズボンの部分だけを納戸の中の釘に引っ掛けてあります。
夫の言うことを聞いて放置していたが
数年前の春、「まだ寒いときがあると思う。そうしたら着るから、このままにしておいてよ。触らないでよ」と言ったのです。防寒具は厚手で乾かすのにも時間がかかります。洗濯するのは本当にしまう直前にした方が良いと夫は言うのです。
確かにせっかく洗濯して乾かした防寒着をもう一度夫が着るのは、何というか時間と手間と洗剤がもったいないと思ったので、私も夫に従ったのです。ところが、その年は順調に暖かくなり、防寒着の出番はなくなったのでしょう。防寒着を着る機会がないままに、夫はすっかりその存在を忘れてしまったようです。
防寒着をつるしてある納戸には掃除道具があるため、私は毎日出入りします。時々は『これ、どうするんだろう?』と思うものの、そのうちに私は防寒着がつるしっぱなしでも気にならなくなってしまいました。つまり防寒着は納戸の中にあって当然、風景のようになってしまったのです。
すでに新しいものを買っていた夫
しかし、今年私はとうとう夫に防寒着をどうするつもりなのかと聞くことができました。夫はしばらく何のことだかわからないようでしたが、やっと防寒着を放置した理由を思い出したのです。
あの防寒着は暖かくて良かったんだけど、厚手で動きにくかったんだよね。薄手で風を通さないやつ(ウインドブレーカーのような素材の上下)を買ったら、そっちの方が使い勝手が良くて…もう、厚い防寒着は着ないかもしれないな~
それでなんだバカバカしい!もうしまってしまおう、洗濯をしなくては、と思ったのですが、一度風景の一部になってしまったせいか、どうしても防寒着を洗濯をするのを忘れてしまいます。今日もすでに洗濯を終えた後に、そういえば防寒着があったのだと思い出したのです。
今日、洗濯してしまいます
また今度にしようかとも思いましたが、当面着る予定がない防寒着、また忘れてしまいそうです。だから嫌々ですが、今日のうちに洗うことにしました。防寒着がつるしっぱなしでも当然と思っていましたが、それがなくなることで納戸の壁面はすっきり、やはりどんなに邪魔にならないようにしても、余計なものを置きっぱなしにして良いことはないなと実感できました。
まだまだ、当地では朝晩冷え込むことがあり、布団などはなかなかしまえない状況です。昨年はこたつ布団を4月中に片付けてしまい、大変後悔しました。これらはゴールデンウィークが終わってからでも遅くはないと思っています。しかし、防寒着はもうしまっても後悔はしないでしょう。今着ていたら逆に変です。
確実に春夏へと季節は移り変わっていきます。ゆっくりと季節に合わせて生活の方も変えていければ良いと思っています。
それにしても、どんなに不要な品物もずっと放置しておくとそれに目が慣れてしまう、これは結構怖いことだと思います。この調子で不要品があることに慣れると、部屋の中がどんなに散らかっていても、自分では気がつけなくなってしまうのではないでしょうか。
片付けや掃除をするのはゆっくりでも構いません。しかし、不要品があることに慣れない、新鮮な目をいつまでも持っていたいと思います。後、夫の言うことを真に受けるのはほどほどにしようとも思っています。