結局私は人の身になって考えられないと、新聞の投書を読んで感じた件

ワンピース 生活

我が家では朝日新聞をとっています。「生活」紙面には、「ひととき」という欄があり、毎日読者からの投書が掲載されています。昨年の12月2日、そのひととき欄に還暦は赤いミニスカートで祝いたいという内容の投書が掲載されました。

親孝行な息子の話は縁遠かった

投書の主は還暦祝いのためにぴったりの素敵な赤いジャンパースカートを見つけましたが、高額のため買おうか買うまいか悩んだそうです。家で息子に相談したところ息子から思いもかけない一言が出ました。「僕がプレゼントするよ」

投稿主が息子にもらったお金で、無事に還暦祝いのためのジャンパースカートを購入したところで投書は終わっていました。私はその投稿を自分とは無関係の世界の話として受け取りました。子どもがちゃんと働いて自立している、子育ての苦労が報われた人の投書であり、私とは無関係だと思われたのです。

もう、何度もこのブログに書いていますが、私には2人の娘がいます。けれど長女は漫画家を目指してアルバイトで食いつないでいるフリーターで、次女はもう5年以上引きこもり生活を続けています。子どもが自立して働いている、結婚して新生活を始めるなどの話は私とはあまりにも遠い話でした。

投書に隠れていたこととは

しかし、今朝(2022年2月17日)の新聞ではその投稿の背景が明らかにされていました。自分の給料を母の還暦祝いのために使った息子さんは、小学生のときに脳梗塞を起こして倒れ、車椅子生活になりました。投稿主は息子の通学に付き添い、介護をする生活を送ったのです。

常に母親が学校についてくることが息子さんは恥ずかしかったと言います。それでも彼は母親の介護がなければ生活できないと思っていたようです。しかし、彼は特別支援学校の教師の一言で変わります。「一人でできることを増やそう。親が死んだらあなたはどうするの?」

こうして息子さんはできることを徐々に増やしていき、最終的には就職もします。彼が母のために差し出したお給料は、在宅でパソコン入力の仕事をして得たものでした。

人間が背負っているものをわかっていたつもりだったけど

私が遠い世界と感じていた幸せそうな親子の話の裏には、重い現実がありました。それを乗り越えての赤いワンピースだったのです。私はその現実を想像もできず、結果となったワンピースだけを見て、自分とは遠い話だと勝手に決めつけてしまいました。

遠い話だと決めつけたのは、私が普通の生活を送っているであろう人たちに対して言いようのないコンプレックスを抱いていて、それを認めたくないから自分とは違う、遠い世界の話だと思い込もうとしたのです。

新聞には幸せそうに笑う親子の写真が載っていて、見ていたら何だか泣きそうになりました。自分の浅はかさを恥じたこともありますが、親子の笑顔がとても眩しかったのもあると思います。カラー写真でなかったために、ワンピースの赤い色がわからなかったのだけが、少し残念でした

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