夫の弟が昨日、退院しました。彼は昨年の12月6日に脳梗塞で倒れ、病院に救急搬送されました。その後1月12日には、リハビリのために専門の病院に転院、3月18日にやっと退院できました。
入院当初は1人で歩くのが辛い状態でした。少し距離が長くなると(例えば病室からロビーに出るだけでも)、車椅子を使っていました。3月になってもそれが歩行器に変わっただけで、果たして3月中に退院できるのかという感じでしたが、退院前の2週間で劇的に改善、ほとんど杖なしでも歩けるようになったのです。
辛かったのは家計だけじゃない
私は何度も何度もしつこくこのブログに、弟のために我が家が出費を強いられたことを書いてきました。確かに痛い出費でしたが(我が家の家計費1カ月分を楽に上回る金額だったので)、もっと辛いと感じることもありました。
それは弟のためにかけた時間や手間の価値を弟がまったく理解していないことです(少なくとも、私には理解していないように思えました)。
例えば、私たちが住んでいる埼玉県から弟が入院していた都内の病院に行くには、往復で4時間近い時間がかかりました。正直言って行くだけで疲れます。リハビリのために入院した病院は我が家から近いところでしたが、それでも夫は毎月病院から呼び出されて、貴重な休日はすべて弟のためになくなっていました。
弟からも〇〇が足りない、△△が欲しいなどと注文が入ります。夫はそれを叶えるために奔走しなくてはなりませんでした。また、弟の自宅マンションにポストの中を見てくれ、と言われたこともありました。夫はそのためだけに1時間以上車を運転して弟の自宅に行かなくてはなりませんでした。
それらの雑事の合間に、さまざまな支払いがあり、さらにもともと精神の病気を抱えていた弟が入院でさらに不安定になり、病院とトラブルを起こしたりしたので、その話を聞かなくてはならなくなりました。
もちろん私ができることはしましたし、一緒に来て欲しいと言われる前に私は自分から「私も行ったほうが良い?」と申し出るようにしていましたが、夫にかかった負担は相当なものだったと思います。
退院した後も不安
私は夫と深い信頼関係にあるとは思っていません。だからひいき目でも何でもないと思うのですが、夫は兄として弟にしてやれることを一生懸命にやりました。だから弟は再び自分の足で歩けるようになり、退院できたと私は思います。
しかし、弟の生活には不安しかないことが昨日わかりました。久しぶりにATMでお金をおろすとき、弟の口座には10万円しかないことがわかったのです。50歳を過ぎた弟の全財産が10万円、というのはあまりにも心細い金額です。
弟は東京都心のオフィスビルに入っている大企業に勤めていました。昨年の8月から休職していますが、まだ籍は残っており、借り上げ社宅に住んでいます。そして会社から歩いて5分ほどのそのマンションに、ほとんど乗っていない高級車をわざわざ駐車場代を払って置いています。
夫は生活が安定するまで、その車を売ってしのごうと提案しました。そうすれば駐車場代も節約できます。しかし、退院したばかりの弟はそれを拒否しました。夫は『車は売りたくない、でも自分は苦しいから助けて欲しい』というのは虫が良すぎると弟に言いましたが、弟はとうとう最後まで首を縦に振りませんでした。
金も手間もかけているのに報われない夫
確かに売れるものは売って、手を尽くしても苦しい人と、自分の大切なものは処分せずに苦しいから助けてという人では感じ方がかなり違います。前者は大変だと思いますし、公的な機関も手を差し伸べてくれるかもしれませんが、後者は虫が良いと感じます。公的な機関からも高価なものを持っているなら、処分をして生活費に当てろと言われるのではないでしょうか。
弟が車の処分を頑なに拒んだことが、夫の苦労を何もわかっていない証拠だと私は感じましたし、夫もそうだったのでしょう。夫は『それじゃあ、もう援助はできないよ』と言いましたが、弟は無言のままで顔色一つ変わってはいませんでした。
今回のことは、私も不愉快極まりないのですが、同時に弟のために一生懸命なのに、まったく報われていない夫を見るとかわいそうだという気持ちになります。
私自身は、お金のかかりそうなトラブルに見舞われたときは、先にこう言います。
手間は惜しみませんが、金は出せません。だって私専業主婦ですから。
実家の母が病気になったときも、まずこれを言いました(本当は自分の貯金の範囲なら出そうと思っていましたが、それは最後の手段だと思っていました)。でも、弟は嫁に行ったのに、毎日看病に来てもらって本当にありがたい、金の心配はしなくて良いと言ってくれました。
夫に欠けていたのは、できないことを先にできないと言う勇気だったのかもしれません。入院治療費のことも最初からソーシャルワーカー(今、大きな病院には必ずいるようです)に相談すれば良かったのかもしれません。
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