固定電話にかかってくるのは、セールスばかりで嫌になるから撤去してしまいたい、何回かこんなことを考えましたが、そのたびに夫がこう言うので思い留まっています。
これをなくしちゃうと、叔母さんが不便になるよ。叔母さんが生きている間は固定電話は外さないでおこうよ。
お盆が近づいて電話がかかってきた
叔母は夫の父の妹で、早くに父親を亡くした夫たち兄弟のことをいつも気にかけてくれていました。我が家から車で1時間ほどかかる場所に嫁いで、現在も変わらずに同じ場所で生活しています。
今年もお盆が近づき(我が家のお盆は7月23日から25日までです。かつて養蚕をしていた名残だということです)、叔母から電話がかかってきました。
梅干しが漬かったから、取りにおいで。お盆にならなくても、来て良いから。ちょっとの時間でも良いから、ウチに寄ってね。〇〇(夫)にそう言っておいて。
叔母は数年前から認知症と言われて、薬も服用しています。しかし、昔からしていて自分が得意だったことは相変わらずできるようで、今年もまた梅干しを漬けることができました。ずっと単身赴任をしていた叔母の息子(夫の従兄です)が早期退職したので、今年は一緒に作業ができたと、とても喜んでいました。
認知症と言われると、今までの生活ができなくなるというイメージがありましたが、叔母は自分にできることを大切に生活していて、それが好ましく感じられます。私自身、将来に不安がないわけではありませんが、叔母を見ているとその不安が軽くなるような気がして、何だか嬉しくなってきます。
今は幸せな叔母が我が家を気にかけてくれている
考えてみると、叔母は自分が生まれて間もなく父親を亡くし、頼りにしていた兄は交通事故で亡くなり、その後には姉も40代の若さで亡くなっています。
叔母はきょうだいの中で自分だけが残り、心を痛めることが多かったのではないでしょうか。私たちと同じ敷地内で生活していた夫の祖母も、どうしても叔母だけは手放したくないという気持ちがあったに違いありません。
しかし、その祖母も亡くなって20年経ちました。自分の母親を見送った叔母は、悲しかったでしょうが、何かをやり遂げたという感じもしました。
その後、自分の息子を立派に育て上げ、孫にも恵まれ、今は幸せに暮らしている叔母ですが、その叔母は今も我が家のことを気にかけてくれています。これはとても嬉しいことであると同時に、叔母の思いを大切にしていかないといけないな、と思っています。
だから、やはり当分の間は我が家の固定電話はこのままのはずです。夫の言うことはもっともでした。