先日、有名洋菓子店で過労死ラインの時間外労働が明らかになりました。これは以前も問題になりましたが、改められなかったため、大きく報道されてしまいました。
月100時間を超える時間外労働で、早朝から深夜まで働き詰めという人もいたようです。この洋菓子店のパティシエがとても有名な人で、その人に憧れて入社してくる人もいたため、やる気が先走り、時間外労働という結果になったのかもしれません。
好きが裏目に出てしまう?
好きなことを仕事にできるのは、とても幸せなことだと私も思います。自分もあのパティシエのようになりたいと強く願う人は大抵がまだ年若い人でしょう。やる気があれば、体の無理はカバーできるのかもしれません。しかし、カバーできていると思っているのは自分だけかもしれないのです。
実は私の長女にも同じような傾向があります。長女がやっているのは絵を描くことです。今回の展示会の準備でもそうでしたが、絵を描いているときの長女はそれこそ寝食を忘れていることがあります。自分でも今すごくノッている、ここで描くのを止めたくないと思うのだそうです。
しかし、飲まず食わず休まずでやっていると、知らずしらずのうちに、仕事の質は低下していると言います。後で落ち着いて絵を見てみると、これは駄目だと思うことも多いのです。結局、ちゃんと休んでからやり直しをした方が、ずっと良いものが描けたりするのだと長女は言っています。
自分が好きでやっていることは、大きな落とし穴になり得ます。休むことを忘れて無理を重ねても危機感を持ちにくいし、周りも好きでやっているんだからと休めとは言わないでしょう。かえってその人が頑張るように見守り、ジャマをしないようにするかもしれません。
好きな仕事でも時間外労働の事実は変わらない
また、自分が好きでやっているとは言え、時間外労働には変わりはありません。自分が好きなことだから大丈夫、構わないと思いやっていることが他の仕事をする人たちのクビを締めないとは限らないでしょう。
あんなふうに喜んで仕事をしている人もいるよ。それに引き換え、あなたはそれよりも仕事をしていないのに、文句ばかり言っているね。好きな仕事ならできるはずでしょ?
このように、自分の時間外労働が他の人への圧力に利用されてしまったとしたら、どうでしょうか。そんなことになる前に、そして自分が疲れ切ってしまわないうちにぜひ、適切な休息をとって欲しいと思います。人生は長いです。長い間好きなことを続けるために、我慢して休息を取るように心がけて欲しいです。
今回の報道で「やりがい搾取」という言葉を初めて聞きましたが、思ったよりもこれは身近な存在で、だからこそ怖いのではないかと思います。若くてやる気のある人たちの未来が明るいものであるように祈っています。