最近、市販薬を過剰に摂取するオーバードーズが問題になっているようで、新聞記事でも目にすることが増えました。
私にはオーバードーズをする理由がわかるような気がする
私たちは普段、具合が悪くなって市販薬を服用する時は用法用量を守ろうとするはずです。正しく薬を服用して、一刻も早く具合の悪い状態から抜け出たいからです。オーバードーズをする人は、具合が悪くなくても、特定の市販薬を自分に適した容量以上に飲んでしまいます。
なぜ、市販薬を過剰に摂取するのかと言うと、ある種の市販薬を大量に服用すると、浮遊感や高揚感を感じるからだと思われます。
人生から逃げ出したいからと、大量の薬を服用するケースもあるでしょうが、この浮遊感や高揚感を感じ、生活に伴う様々な苦痛を忘れるのがオーバードーズの目的になっている場合が多いのではないでしょうか。
高校生のときに飲んだ鎮痛薬が…
私がこんなことを言うには理由があります。私が高校に入学して数ヶ月経った頃、毎日下校時刻になると頭痛がするようになりました。
最初は自宅に常備してある鎮痛剤を服用したのですが、数日服用してもあまり効果が感じられませんでした。下校途中にある昔ながらの薬局に寄って相談すると、もう少し強い効き目のある薬を紹介してくれたのです。
それは今まで見たことがなかった薬で、今は名前も忘れてしまいましたが、薬局の女性店員は販売する前に、私にこう注意をしてくれました。
これは他の鎮痛剤と比べるとかなり強い薬だから、ちゃんといつ飲んだか記録しておいてね。そして、1ヶ月に10日以上飲まないように自分で注意してください。本当にくれぐれも注意して、飲みすぎないようにしてね。
新しく手に入れた鎮痛剤はとてもよく効きました。よく効くと今度は飲まないで痛くなると嫌だな、と思うようになりました。そして、それほど頭が痛くもないのに薬を飲んだ時、ある異変に気がついたのです。
鎮痛剤で良い気分に
それはフワフワと身体が浮き立つような感覚で、とても楽しい気持ちでした。後に酒を飲むようになって、酒に酔った状態に似ていると気が付きましたが、酒を飲むと浮き立つ感覚の他に余計なものがいろいろと付いてきます。
例えば顔が真っ赤になって燃えるように暑いとか、頭がガンガンしてくるとか、もっと時間が経つと胃が重苦しくなるとか…しかし、鎮痛剤を飲んで感じる感覚はいいとこ取りだったような気がします。
その後、私はカレンダーとにらめっこをしながら、その鎮痛剤を10日間飲むということを繰り返しました。もう、頭痛はまったくありませんでしたが…
誰でもオーバードーズをする可能性がある
今思うと高校に入学した頃の私は、行きたかった学校には行けず、家に帰れば病気の父がいて、洗濯物を取り込んだり、夕食の準備をしたりする必要もあり(別に毎日やれとは強制されていませんでしたが)、なかなか青春とは程遠い日々を過ごしていました。
いろいろなうっぷんがたまっていたのかもしれず、浮遊感を味わうことで紛らわしていたように思います。ただ、私は深入りすることはなく、薬もいつの間にかやめました。お金のこともありましたが(高校生にとっては鎮痛剤は高価でした)、このまま飲み続けるとどうなるのか、と考えると怖くなったのでしょう。
ただ、今でも薬物とかオーバードーズと聞くと、他人事とは思えません。私もまかり間違えば危なかったと思います。世の中の人たちが、オーバードーズは特別なことではない、誰にでもやってしまう危険性があることを理解して、対処する必要があるのではないでしょうか。