私の母が亡くなって10年が経とうとしています。母が亡くなった当日に、弟が母の財布を私にくれました。「せっかくあげたのに、古い財布ばかり使っていたから、これはまだ新品同様だよ。姉貴にあげるよ」と言いながら。
これ、本当に母が亡くなったばかりの病室内でのやり取りでした。正直『え~、こんなときになにやってるの?』と思ったものです。
仕方なく使っていたはずが
それに私は形見分けが苦手でした。亡くなった人のものを使おうとしても、何だか落ち着かずしまい込んでしまったことも数回ありました。ただ、そのとき私が使っていた財布が古くなっていて、新しいのが欲しかったのも事実。
私が今まで使ってきた財布は古くなるとスナップボタンが甘くなって、予期せぬときに小銭入れが開いてしまったり、ファスナーが壊れてしまったりしていました。カードが抜け落ちてしまうほど、カード入れの皮が伸びてしまったことも。
こうなると財布は財布としての用をなしません。落とし物、失くし物の原因にもなりますから、早急に取り換えるべきなのです。
それで、そのときも気に入った財布が見つかるまで、間に合わせとして母の財布を使おうと思ったのです。この10年、自分でもデパートに行くたびに財布を探したし、ネットでずいぶんと検索もしました。しかし、これ!というものはありませんでした。
それで仕方なく母の財布を使い続けましたが、この財布、どこも不都合がありません。金具もしっかりしているし、カード入れからカードが抜け落ちることもありません。全体的に古びているのは事実ですが、ちゃんと財布として使えます。
今までにいくつか財布を使ってきましたが、10年使い続けてもどこも不都合がないのは初めてかもしれません。そして、仕方なく使ってきたはずなのに、最近は母の財布に対して、愛着が生まれているようなのです。
これからも使っていきたいが…
よく流行る歌は、何回も耳にするから多くの人に良い歌だと思われ、流行るのだそうですね。物に対する愛着もそれと同じで、何度もその物を使うことで大きくしっかりしたものになっていくのかもしれませんね。
母の財布がもっとくたびれて、どこかが壊れるまで使ってみようかという気持ちになってきました。
ところで母の財布はオレンジ色です。よく黄色い財布は金運が上がる、赤い財布は赤字に通じるなどと言いますが、それを混ぜたオレンジ色はどうなんでしょう?まあ、金運が上がっていないことは確かです…
私は現在61歳。この財布を死ぬまで使うわけにはいかないかもしれません。どうしても、あと1つくらいは財布を購入する必要があるのかも。ここ数年でこれだ!と思える財布が見つかると良いのですが、大丈夫かな~。
これは財布への愛着云々ではなくて、単に次の財布を決められない先送りなのでしょうか。


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