今振り返ってみると、私の更年期は穏やかに過ぎましたが、更年期の少し前から生理が遅れると閉経の前兆かと思ったり、不調があるとすべて更年期障害が始まったのかと思っていました。
それは私だけではなでしょうが、これはおかしいと思うことを言っている女性がいました。今もそれが忘れられません。
40代で生理が来ないのはおかしいのに
それは私が40代になってすぐのことでした。子どもの通う小学校で、夏休みに校舎の掃除ボランティアというのを募集したのです。私はPTA役員をやっていた関係もあったために参加しましたが、我が家の近所に住む女性(私よりも1歳年下でした)も参加してくれていました。
私とその女性は女子トイレの担当になり、2人で並んでいる個室を半分ずつ掃除をすることにしました。暑い季節、トイレの個室の中を掃除していると汗をかきましたが、その女性の汗のかき方は半端ではなく、私はこのままでは熱中症になってしまうと心配になりました。
ちょっと休んで水分を摂った方が良いと勧める私に対して、彼女はこう言いました。
更年期障害だから汗をかきやすくなっているだけなの。心配はいらないよ。
更年期障害には少し早いな、と思いましたが、彼女は重ねてもう生理も来ないのだと言いました。それはおかしいのではないか、ちゃんと医師には相談したのかとの私の言葉に、彼女は信頼できる鍼灸の先生に診てもらっていると答えました。その先生によれば、彼女の体はもう年をとって衰える方向に行っているのだ、それが自然の流れなのだということでした。
ちょっと納得できない思いもありましたが、更年期障害が早く来る人もいるし、そういうこともあるのかと思い、私はそれ以上何も言いませんでした。何より、本人が納得しているならそれで良いと思ったのです。
あっけなく彼女はいなくなってしまった
それからわずか3年ほどで彼女は息子一人を残して、亡くなってしまいました。ガンだったということです。そのとき息子はまだ中学3年生でしたが、その息子が小学1年生のとき、彼女は夫を亡くしていました。夫だった人は、長い間闘病生活を送っていました。よく看病するために結婚したようなものだと彼女は口にしていました。
だから、彼女が自分の体に無頓着だったとは思えません。自分がいなくなれば息子は1人になってしまうと彼女が考えなかったはずはないのです。
そんな彼女に信頼できる人がそばにいたことは良いことですし、そんな人の言葉は信じられるものだったのでしょう。でも、少しでも他の意見に耳を貸していたらと思わずにはいられません。
彼女のガンと更年期障害のような症状が関係あったのかはわかりません。それでも医師に診察を受ける機会があったら、異常の発見につながったかもしれません。
人の運命と言えばそれまでですが、私は彼女が生きる機会を失ってしまったように感じられて仕方がありません。彼女の息子は祖父母に引き取られたそうです。住んでいた家はそのまま残っていて、いつか息子は戻ってくるような気がしています。
とりあえず、私の頭の中には何でも更年期障害のせいにしない、ということがインプットされました。しかし、もうその更年期も終わりに近づいています。もう彼女よりも私は10歳も年上になってしまいました。
私が穏やかに更年期を過ごせたのは、彼女のおかげもあるのかもしれません。
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