娘が幼かった頃、仲良くしていた女の子がいました。幼稚園の頃から仲良くなって、小学校も楽しく通っていると思っていました。
早速イジメ?と焦ったけれど
小学校に入学してしばらくすると、その子のお母さんがいいにくそうに私にこう話しかけてきました。お母さんによると、自分の娘がこう話したというのです。
この間、急に雨が降った日に、〇〇君のお母さんが学校に迎えに来て、みんなを車で送ってくれたんだよ。でも、私だけが送ってもらえなかった。私は一人で雨の中を歩いて帰ったんだ…
私はすぐに娘に確かめました。私の記憶では娘はその日、かなり雨に濡れて帰ってきましたから、とても車で送ってもらったとは思えなかったし、もし送ってもらったなら、それは仲良しだったその子に、申し訳ないような気がしたのです。
娘は私の思ったとおり、送ってもらっていない、といいました。我が家は小学校に近く、わざわざ送ってもらわなくてもよい距離ですし、そもそも〇〇君のお母さんは自分の息子だけを乗せて、さっさと帰ってしまったそうです。
その子の意外な反応とは
私は仲良しだった子のお母さんにそれを伝えました。いじめや仲間はずれを心配したお母さんもいろいろな人に確かめたところ、誰も車で送ってもらった子はいなかったそうです。つまりその子は仲間はずれにされたわけでも、何でもなかったのです。でも、それを直接本人にいったところ、こう返事が帰ってきたそうです。
もう、いいよ。お母さんはほかの人のいうことは信じるけど、私のいうことは信じないんだよね。
娘の仲良しだった子は嘘をいったのでしょうか。本当か嘘かと突き詰めれば、嘘になるのかもしれませんが、その子の心にはそういいたい何かがあったのかもしれません。お母さんは、もう嘘をいっているのかどうか、確かめるのは止めにしました、と私にいいました。娘のいっていることをそのまま受け入れることにしたそうです。
春は嘘をついてでも、自分を守りたくなる
小学校に入学して、いろいろ環境が変わったことが彼女に影響したのかもしれませんが、本当のところは誰にもわかりません。でも、毎年春になるとこのことを思い出します。
私たちは、何かを本当か嘘かで区別したくなりますが、ある人には嘘でも、別の人には本当のことがあるのかもしれません。春は環境が変わる時期です。心も揺れるのでしょう。誰の心が揺れたとしても、しっかりと支えてあげられるとよいですね。娘のいっていることをそのまま受け入れるのは、よい対応だった私は思います。
誰だって、自分のいっていることを嘘だと決めつけられたら、愉快な気持ちではいられないですよね。