私と同年代の方のブログを読んでいると、自分の母親との関係に悩んでいる人が結構いることがわかります。私は自分の年代のことも考えるとそれも仕方のないことだったのかな、と思っています。
母も娘もタイミングが悪かった?
私の母は第二次世界大戦中の昭和11年に生まれました。母や母の同年代の人たちは、戦後いくら時間が経っても、またあんなことになるのではないかという不安とともに生きていたように思います。
だから二言目にはあの頃は…と戦時中のことを持ち出して、子どもを叱っていたわけです。我が子をあんなことになっても大丈夫、な子どもに育てたかったのでしょう。
昭和39年に生まれた私たちが子どもを生んだ頃、世の中はすっかり様変わりしていました。子どもが電話を使うなんて贅沢という考えの代わりに、子どもの安全のために、ちゃんと電話で遊べるかどうかを確認するのが常識になりました。
いつまでも甘えていないで、どこへでも一人で行きなさいと、小学生低学年の子どもがバスや電車に乗るのを後押ししていた母は、今、考えなしだと非難されることもあるかもしれません。
私たちの年代は(母)親にしてもらったことと、自分が(母)親としてしなくてはならないことがあまりにチグハグで、消化不良を起こしているような気がします。でも、そう思っているのは私たちだけで、(母)親の世代は相変わらず自分の価値観を押し付けてきます。
気づかないうちに消化不良を起こしているかも
(母)親の世代に押し付けの気持ちはないのかもしれません。ただ、自然に生きているだけでも、そこに何の後悔も迷いも見て取れないと、私たちの目には自分の生き方に何の疑問も持たない、改めようとしていない、と映るようです。結果、その生き方を押し付けられているような気持ちになってしまうのです。
若い頃に親に反発したり、親の生き方を受け入れられなかったりというは、自分も親と同じ立場になると気持ちが溶けていくことがあります。しかし、もう十分に子どもが年を取り、それでも親の気持ちが受け入れられないのは、親子関係で消化不良を起こしており、それが続いている証拠ではないでしょうか。
消化不良が続いているときに、無理して栄養たっぷりの食事を摂る人はいないでしょう。きっと自分が口にできる僅かな好物を少しだけ摂り、身体を休めようとするはずです。親と自分の関係が、うまく行かないときに、親からどんどん連絡が来て、早く顔を見せてなどと言われたら、もっと治りが遅くなります。もしかしたら、精神的消化不良(そんな言葉はないかもしれませんが…)が悪化してしまうかもしれません。
消化不良が解消しないと帰りたくないはず
だから、たまのお正月なんだから、実家に帰っていらっしゃい(親の方は子どもがそんな気持ちだとは夢にも思っていないはずです。だから悪気はないのですが、それがかえって子どもの気に障ります)と言われて、憂鬱な気持ちになる女性が多いのは当然の結果のように私には思えます。
自分で消化不良を起こしていることに、気づいていない人も多いでしょう。私たちは実家に帰りたくない、親の顔など見たくないと思っても、それを大事だと考えたくないからです。かつての私がそうだったように、今ちょっと忙しいから、最近疲れているから、ともっともな理由を考えて、自分で自分をごまかしている人も多いのではないかと思います。
何も解消しないまま母は亡くなった
実家の母が亡くなったのはもう6年前になります。亡くなってしばらくしても、私は電話が鳴ると、ビクッとしたものです。母からだ、どうしよう、と思ってしまうのです。
母はきっと寂しかったのだと思います。恨みがましい声で、あんたはちっとも連絡をよこさないとよく言っていました。そのくせ、家族で帰ってこられても、面倒だから帰ってくるなと言うのです。
私が一人で行くと、夕方には帰ることになりますから、それもまた気に入らないようでした。
「たまにしか来ないのに、逃げるように帰っていくわね」などと言われると、もう私は面倒でたまらなくなってしまったのです。
後悔しない付き合い方を見つけて欲しい
母が亡くなり、随分経ってから、もう電話がかかってくることはないのだ、私は何も文句を言われないのだとわかってきました。やっと私は解放されたのだと思いました。私と母は表面上はそれほど険悪だったわけでもなく、普通の関係だったと思います。
このことについては、もう今さらどうしようもないし、どうにもできません。しかし、今でもブログで自分と同年代の女性が母親との関係について悩んでいるという記事を読むと、重苦しい気持ちが蘇ってきます。母が亡くなってしばらくの間は、自分の冷淡な態度が母の寿命を縮めてしまったような気がしていました。
今悩んでいる方は、親というのはかなりの確率で自分より先に死ぬことを思い出して欲しいです。親が死んだときに、後悔しないような親との付き合い方を考えると良いのではないでしょうか。
なるべく顔を合わせないで、付き合っていくのも良いでしょう。たまに顔を合わせるときはサービスと割り切って、良い娘を演じれば、親も満足して、自分の気も済むかもしれません。顔を合わせる回数を減らせない人なら、なるべく時間を短くするのも1つの方法です。
とにかく親が亡くなったときに、自分はこれだけやったんだと思えることが後悔をしない付き合い方です。そしてそれをやったのだから、と自分を責めないでも済むのではないかと思います。
親が元気な皆さんは、この年末年始、お疲れさまでした。