この数十年、私は1通の保険証券を大切に保管してきました。私が独身時代に母の強い勧めがあって加入したものです。母は一時期生保レディーをしていたことがあり、そのときの義理で加入を勧めたのだと思います。今から見ても補償が手厚く、良い保険でしたが、その分保険料が高かったのです。
結婚して子どもが産まれると、夫の保証の方を手厚くする必要があり、私の保険料まで支払う余裕はなくなりました。そのときに解約をするつもりでしたが、払済保険にすると良いと教わって、そうすることにしたのです。
私は保険を払済保険に変更した
払済保険にすると、それ以上保険料を支払う必要はなくなります。それまでに支払った保険料の総額の範囲で、できる補償をするので、当初予定していた補償よりも程度が下がってしまいますが、完全に解約して無保険の状態になるリスクは避けられます。
そのときに払済保険に変更したと記載した保険証券を私は大切に保管してきたわけです。生命保険に関することは、昔から苦手で、きっと契約を変更したことも忘れてしまう…
そうならないように、家族の保険証券とは別に自分だけにわかる場所に保管していたのだ、と思いますが、証券の日付を見ると、契約を変更したのが20年も前のことです。
私は何を考えて、証券を大切に保管してきたのか、今となってはよくわかりません。
最近急に気になるように…
今まで何度も証券があるのを見ていたわけですが、最近になって段々と気になりだしました。
そう言えばこの保険って、どうなったんだっけ?払済保険にしてから、もう随分経つよね…今解約しても、戻ってくるものがあるのかな。
いくら証券を見ても、払済保険にしてからどうなったのかが思い出せません。きっともう解約したところで、何か戻ってくるものがあるとも思えませんが、かと言って証券を捨てるのもためらわれました。
夫に相談したところ、夫も払済保険にしたところまではおぼろげに覚えているが、それ以上の記憶はなく、私にこう提案してきました。「うちの近所の支店に電話して、聞いてみたら?証券番号がわかるんだから、きっとすぐ検索してくれるよ」
実はもう解約していた
電話をかけるまではあれこれ考えましたが(もう解約してあったら恥ずかしいな、とか)、電話をしたら3分とかからずに結果がわかりました。払済保険にしたものの、私はその1年後には完全に保険を解約したそうです。
自分ではまったく思い出せませんが、何度も考えているうちに『そう言えば、解約したかも』と思うようになりました。
情けないことに、私はもし入院することがあったら、払済保険にした方の保険会社にも連絡しないと、などと考えていました。それくらい解約したことが頭から抜け落ちていたのです。いやぁ、どんなことにも確認って大切ですね。
私はもうすぐ60歳を迎えます。悲しいくらい、記憶はどんどん抜け落ちています。大切だ、重要だと思っていたものでも、実は時間の経過でそうではなくなっているかもしれません。まだまだ自分の身の回りを見直して、整理をしていけそうです。
これからを身軽に過ごすためにまだまだできることがあると思うと、少しは前向きになれそうです。
しかし、解約した保険の証券を後生大事に持っていたのは、やはりショックです…