いだてんで知らなかった世界が見られた

テレビ

いだてんとは、今年のNHKの大河ドラマのタイトルです。
私はもともと運動は苦手でした。小さな頃から母に変な走り方をしている、すごく遅いといわれていて、人前で走るのは苦痛でしかありませんでした。

スポーツは何のためにするのか

だからスポーツは何のためにするのか、などと考えたこともありませんでした。まさか運動神経がよいことの自慢をしているわけではないだろうし… マラソンに出会った直後の金栗四三は、何のために走るのかと疑問を持ちます。

いだてんを見ていたらもしかしてスポーツは自分の体を使ってどこまでできるのか、可能性を追求することなんじゃないかと思えてきました。自分がもっとできそうだと思えば、ワクワクするし、できたときの達成感は素晴らしいのではないかと感じられてきたのです。

人間は生きている以上は、誰でも自分の体を持っていて、それを自分の意思で動かして生活しています。スポーツをするのもそれと同じです。生きているから自分の体を使って生活をする、生きているから自分の体を使ってスポーツをする、この2つは根っこの部分ではつながっています。だからスポーツすることは、生きることなのではないでしょうか。生きることに貪欲になるからこそ、自分の体を使ってどこまでできるのか、確かめたくなるのでしょう。

そこには誰かとの比較は要らないし、国の威信などは関係ありません。
現在、いだてんでは東京オリンピックのために奔走する田畑政治たちの姿が描かれています。
そして東京オリンピックを政治的に利用しようとする政治家たちの姿も。
それに対する田畑政治の姿は実に毅然としています。

スポーツが国に利用された時代があった

オリンピックは第2次世界大戦に突入する前のヒトラーによって、国を挙げた壮大なプロパガンダとして利用されました。そして世界中の多くの人たちが、ヒトラーを偉大な指導者だと信じてしまいました。もう2度とかつての過ちを繰り返さないために、田畑政治は政治家の介入を拒みます。普段はふざけたおじさんにしか見えない田畑政治が、政治家を拒む姿は爽快で、見ていて気持ちがよいです。

政治家の介入を許し、いくらかの資金を引き出すよりは、彼にとっては本当のスポーツを守る方が大切なことだったのでしょう。スポーツの真の価値をわかり、守っているからこそ、ふざけたおじさん、田畑政治は人望を集めたのだと思います。

スポーツは生きることだとはいえ、国と国が競い合うオリンピックは、大きなお金が動きます。
そこに魅力を感じる政治家が出てきてしまうのもまた、仕方のないことかもしれません。

純粋なスポーツをする人と、その人のために尽くす人

現在2020年の東京オリンピックを巡って、さまざまなトラブルが起きているようです。
そして持ち出されるのはお金の話ばかりです。純粋なスポーツのために奔走している、田畑政治たちの姿は、ドラマの中でしか見られないものなのかもしれません。お金のためにオリンピックをするのは、間違いですが、そのお金がなければオリンピックはできないという事実もあります。

せめていだてんの中では、純粋なスポーツのために尽力している人々の姿を楽しみたいと思います。スポーツをする人、そしてその人のために尽力する人の姿を見て、心を熱くできるドラマがいだてんです。これからドラマも終盤戦ですが、きっと東京オリンピックで心を1つにした日本人がどんなふうに戦後の日本を作っていくかが見られるはずです。

先日のラグビーワールドカップで優勝した南アフリカのキャプテンが、いろいろと国は問題を抱えているが、この瞬間はラグビーで1つになれた(かなりうろ覚えで、すみません)、と語っていました。私はそれを聞いて、いだてんでやっていることと同じだと思いました。スポーツは人を惹きつけ、惹きつけられた人たちは1つになります。それはスポーツが生きることだからです。懸命に生きる人を見て、応援したくならない人はいないからです。

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