どんな状態になっても、人は生きていく方法があるのか?

訪問診療 生活

今月の29日、埼玉県ふじみ野市で立てこもり事件が起きました。同じ県内ということもありますが、ふじみ野市には私の実の弟が住んでいるため、大変驚きました。

立てこもったのは66歳の男性で、難病で寝たきりになっていた母親の看護を、訪問診療の力を借りながら、一人で行っていたということです。その母親が亡くなった翌日、彼は訪問診療の医師や看護師などを理由をつけて自宅に呼び出した上で、散弾銃などで脅し、人質にして立てこもったのです。

もうご存知の人が多いでしょうが、人質となった一人、訪問診療に携わっていた医師は即死状態だったといいます。

生活への不安から絶望してしまった?

男性が事件を起こしたのは、母親が亡くなったことが大きく関係しているようです。本人もこの先、何も良いことがないと思った、と供述していたとのことです。難病だったとは言え、もう90歳を越えた高齢の母親の死がそれほどのダメージを男性に与えたのかと、最初は驚きました。

しかし、あくまでも私の勝手な推測ですが、彼の起こした事件には、別の側面をあるのではないかと思うようになりました。それは経済的な不安ではなかったでしょうか。私は年金のことには詳しくありませんが、男性は母親と自分の年金でやっと生活ができていたのではないかと思います。

私の実家がそうでした。母が60代半ばを迎えたとき、父と2人の年金を合わせれば何とか生活ができていましたが、父は73歳で亡くなりました。父が亡くなった途端に実家の生活は苦しいものになりました。父は49歳で障害者手帳を持つようになったため、年金は普通よりも多かったと母は言っていました。

父が亡くなった当時、私はすでに結婚していましたが、母の老後に対する不安は大きかったようです。私は定期的には無理でも、苦しいときには援助をしようと申し出ましたが、母はたとえお小遣い程度の金額でも嫁に行った娘からもらいたくない、そんなことをしたら、いつかは問題になると言って、私の申し出を却下しました。

今考えると当時の母は、ちょうど今回事件を起こした男性と同じくらいの年齢でした。男性の不安もきっと大きなものだったのでしょう。母は私に苦しい胸のうちを訴えることができましたが、男性にそんな相手はいなかったのかもしれません。その不安に母親が亡くなった喪失感が加われば、男性が自殺を考えたとしても不思議はないような気がします。

生活の不安は取り除けるのか

どんな事情があったにせよ、男性は決して許されないことをしてしまいました。今回のことで訪問診療にまつわるトラブルはたくさん生じていることも明らかになりました。こんな事件が起きると、やはり医療は病院に任せておこうという流れになってしまいそうで心配です。

このような事件を起こさないためには、生活に対する不安を少しでも取り除くことが大切ではないかと思います。大切な人を亡くす、その上収入まで減る、それでも生活するためにどうすれば良いのか方法があるならば、それを多くの人が知っておくべきです。

本当に困った状態になったとき、自分でネットを検索して必要な情報にたどり着ける人ばかりではないはずです。常に困っている人に情報が届くようにするには、どうしたら良いのかを政治家の皆さんは考えて欲しいです。例えば、医療関係者からケースワーカーのような存在を派遣して、男性の話を聞いていたら、事件を防ぐ助けになったのではないでしょうか。

困ったときの方法が本当はあるのに、それにたどり着けずにこんな事件が起きるなら、それは方法がないのと同じです。この男性が本当は何を考えて事件を起こしたのか、実際に話しでもしてみないとわかりませんが、私は報道を見聞きするたびに、あのときの母の顔を思い出してしまいます。

そして私自身のことも考えてしまいます。私は夫に比べると年金がとても少ないです。もし夫が先に亡くなったら、私も男性と同じような心境になるのでしょうか。

それにしても最近、自殺を企てる人は、なぜ他人を巻き込もうとするのでしょうか。これもコロナ禍ゆえなのでしょうか。ちょっとしたガス抜きができず、誰かに悩みを相談するのも難しい世の中は、どんな人にも厳しいものなのかもしれないと、考えさせられます。

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