今になってわかる気がすること

家族として生きるって難しい 健康

夫の弟が脳梗塞で入院してから、夫はとても大変そうです。今回リハビリのために転院することになりましたが、そこでは保証人が2人必要だと言われました。夫には他に兄弟はいるのかという質問もあったそうです。

夫は三人兄弟でしたが…

夫と弟たちの関係

病院側としては、もし夫に何かあったとき、その後の責任は誰が取るのか、所在をハッキリさせておきたいということなのでしょう。しかしもう1人の弟(次男)は数年前に妻とは別の女性と家庭を設けて、せっかく建てた自宅を出ていってしまいました。それからはほとんど連絡を取っていません。

今回倒れた弟は三男になりますが、次男は自分が他の女性と家庭をもつために必要なお金をウソをついて三男から借りました。もちろん返すあてもなかったのでしょう。結局三男はかなりの金額のお金を騙し取られてしまったのです。

そのことを三男は長男である夫に相談しまたが、夫に何かできるわけでもなく、ただこう言っただけでした。

「そのお金は返ってこないと思うよ。諦めて、(次男に)あげたと思いな」

この言葉を聞いて、三男は激高。もう、兄弟の縁は切る、ということになったのです。でも、三男が倒れた時の緊急連絡先を我が家に指定していたことで、夫と弟は再び顔を合わせることになったのでした。

夫は弟との関係に心を痛めていたと思ったら、今度は入院にまつわるさまざまなことを考えなくてはならなくなったのです。はたから見ているとまさに翻弄されているという感じがします。

金銭的な心配もありますが、一番は弟の身体がもとの状態に戻るのかということでしょう。

我が家の近所には昔から夫たちを見守ってきた親戚が高齢になっても、まだ住んでいます。その人たちを心配させてはいけないと、夫は弟の入院を隠し通しています。

夫を見ていて、母を思い出した

夫を見ていると私は自分の母のことを思い出さずにはいられません。父が脳出血の発作で倒れたとき、母は43歳でした。それまで母は父の収入に対してかなり不満を言っていました。しかし、自分が働きに出るようになって、それまでは恵まれていたことに気が付いたのではないでしょうか。

母は父が元気だった頃は、働きに出ても長続きはしませんでした。すぐに文句を言って仕事を辞めてしまいましたが、父が倒れた後の母は人が変わったように、正社員として働き出したのです。

ちょうど私と弟は中学、高校へと進学する時期でもありました。きっと父に相談したいことがたくさんあったでしょうが、母にはそれもできなくなってしまいました(父にはかなり重度の言語障害があり、それまでのように意思の疎通ができなくなっていました)。

母は仕事を始めた肉体的な疲労の他に、自分1人で子どもたちに責任を持たなくてはならないという精神的な疲労も常に感じていたように思います。

母は自分では更年期障害だと言っていましたが、今思うとノイローゼのような状態になっていたようです。

その母ですら、当時まだ生きていた自分の母親や兄妹にいろいろと相談をしていました。お金のことで世話になった話も聞いています。

隠す優しさよりも、頼ってしまおう

夫は早くに両親を亡くしたせいで、親戚の世話になったとよく話していました。だからこれ以上迷惑をかけたくないのだとも。

その気持はよくわかりますが、いつか夫が潰れてしまうのではないかと見ていて心配です。だいたい何かを隠しておくということだけでも、心の負担になるのではないでしょうか。

私としては今、父が倒れた時のことをもう1度追体験しているような気がしています。急に母の気持ちが腑に落ちるという感覚になることもあります。そして改めて思うのは、たった1度の病気が何人もの人生を大きく変えるということです。

父の病気で母の人生は変わったと思うし、弟の病気で夫や私の人生は変わると思います。

これからますます寒くなり、脳血管系の病気が増えることでしょう。誰もが自分だけのこととして考えずに、家族や友人の人生も変えるかもしれないのだと、考えて欲しいです。

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