毎日のように覗いているブログで紹介されていたのが「すべてがユルい春子の日記」です。私が一気に惹きつけられたのは、他人を嫌だと思っているとき、実はその他人に自分の姿が投影されているのだということをわかりやすく説明した「恐怖のざるそば事件」についての記事でした。
今まで何となくそうじゃないかな~、と肌で感じていたことをズバッと言ってくれてすごく納得した上にスッキリできました。これは、これから生きていく上で、とても役に立つ考え方だと思います。人を悪く言う人、文句ばかり言う人は自分に文句があるわけです。それをわかっていれば、周りの人がどうであれ、自分の心の平安は保てるのではないでしょうか。
春子さんは私とそれほど年の変わらない人ですが、かなり生き方は違っていて破天荒に感じる人もいるのではないかと思います。
親子関係に違和感を覚えていた春子さん
春子さんは幼い頃からお母さんとの関係に違和感を覚えていたようです。大人になってからは親子の関係を見直すために、お母さんとは離れ、一人で暮らしていました。同時に、生活のための仕事はすぐに辞めてしまうこともあり、ネットで稼げないかと様々な試みをしています。
この試みはブログで詳しく紹介されており、読んでいると、お金を稼ぐためにはまずどこかに就職して、という作りになっている自分の頭の中を見直したくなります。無職で引きこもりの次女にも読ませたくなる内容です。
趣味も広く、現在はピアノに没頭。このピアノについても、10代の頃に辞めたくなかったのに、無理に辞めさせられた経験があり、親子関係の見直しを図っているうちに、自分はピアノをやりたかったのだと再確認したようです。
50代も終わりに差し掛かってから、44年ぶりにピアノを再開した春子さん。私にピアノのことはわかりませんが、今これだけの演奏ができるのですから、辞めずに続けていたら、ハルコさんの人生はまったく違うものになっていたでしょう。春子さんのお母さんが本当に無理にピアノを辞めさせたのだとしたら、ずいぶんと残酷な仕打ちだったと思わずにはいられません。
色と空気の濃い人生
このような関係だったことから、春子さんはお母さんに対していろいろと思うところがあったようですが、「ざるそば事件」で自分が嫌だと思っていたお母さんの姿は、そのまま自分のことだったと悟ります。そしてお母さんの自分への仕打ちを無理もなかったことだと、思いやりの心で理解するようになるのです。
春子さんの様子を見ていると、お母さんとの過去を乗り越えて自分は一段高いところに行ってしまったような感じがします。それは解脱とか悟りとかそういうものを連想させます。お母さんとの関係で壊れた自己肯定感も春子さんは徐々に回復していっているように見えました。
他にもブログでは99万円でマンションを購入したことなど、自分でもやってみたいがちょっと…と思ってしまうことを春子さんが実際にやった話を読むことができます。30年以上結婚生活を続け、子どもを2人生み、親を見送った普通の人生を歩んだ私よりも春子さんの人生はずっと色が濃く、空気も濃いような気がします。
人は一つの人生しか選べませんから、選んだ以上はそれで満足するしかありませんが、春子さんのブログを読んでいると、違う人生を覗けます。それはまるで遠くに旅をしたような気持ちとでも言ったら良いでしょうか。
ブログの役割
ブログを紹介していてなんですが、春子さんはブログを休止するようです。春子さんの中で、ブログというものが役割を終えてしまった、というのが休止の理由です。そしてブログを書くよりも、ピアノの練習をもっとしたいともおっしゃっています。
自分が気に入ったブログはいつまでも更新して欲しいと思うものですが、このようにして終わるならブログとしては良い終わり方ではないでしょうか。自分の生き方を確立した春子さんは、もうブログに思いの丈を綴って気持ちを整理したり、確認したりする必要がないのかもしれません。