深田恭子さんに思う

健康

深田恭子さんが適応障害と診断され、俳優業を休業することになりました。年度が変わって少し経って、季節も春から夏に変わろうとしていますから、心身の疲れが出やすい頃だと思います。

まだ子どもと言っても良い年齢の頃から、俳優業を歩み続けた深田さんにも私たちからは想像もできないような疲れが溜まっていたのでしょう。

昔の自分を思い出した

私は休業の報道を聞いているうちに、昔の自分のことを思い出しました。もう40年近く昔のことになります。あれも6月頃でした。私は大学に入学して2カ月経っていましたが、なかなか通学に慣れることはできませんでした。

自宅から学校まで、バス、私鉄、JRを乗り継いで、うまくいくと1時間半、乗り継ぎがうまくいかないと2時間近い時間がかかりました。特に1限の授業に出席するためには、通勤ラッシュの電車に乗らなくてはならなかったので、自分でもストレスを感じているのが自覚できました。

大学は高校のときのように決まったクラスがあるわけではないので、毎朝同じ顔を見るわけではありません。そのため、高校のときのように、すぐにおしゃべりをする相手を作ることもできませんでした。

そんな中で授業が始まる前に、勇気を振り絞って話しかけた相手が、怪訝そうな顔をしたことがありました。

別に何か言われたわけではないし、そんなに気にすることではなかったかもしれません。しかし、その時の私は『変な人だと思われた』と感じました。その授業にもう出たくないと思うほど、私はそのことをとりつかれたように考え続けてしまったのです。

通学電車で異変が…

そのうちに通学の電車の中で、私はおかしくなりました。私のことをずっと見ている人がいる、そう思えたのです。負けてはいけないと、私を見ていた(と思われる)人のことを穴の開くほど見つめ返しました。すると更にその人は私のことをマジマジと見てきます。

今考えると、見られていたのは私の妄想で(まあ、私が知り合いに似ていたのかもしれません。私はよく人間違いをされる顔です)、その人は私がやたらと見つめてくるので、不審に思ったのでしょう。その後は、通学途中にやたらとトイレに行きたくなりました

小さな子どもの頃から神経質なところがあった私は、駅やデパートのトイレに入るのに抵抗がありました。何回かは学校まで我慢していたのですが、ある日、学校に着いてトイレに並んでいるうちに間に合わなくなって漏らしてしまったのです。

尿と一緒にストレスも出た?

確かに私の通学時間は短くはありませんでしたが、トイレが我慢できなくなるほど長かったとは思いません。今思うと疲れやストレスが頂点に達していたのではないかと思います。

ちょうど大雨の日で、もともと服がびしょ濡れになっていたため、多少尿を漏らしてもあまり目立たなかったのが救いでした。その後、下着を買って取り替えた私は近所に住む同級生の家で眠らせてもらいました。

本当はすぐに自宅で休みたかったのですが、自宅に帰る気力もなくしていました。半日くらい眠って同級生を心配させましたが(突然家に来られて、しかもずっと眠っているわけですから、さぞかし困惑したことでしょう)、その後は普通に帰宅して、次の日も登校しました。

ただ、念のためにトイレは通学途中でも行くようにしました。そのために、できたばかりの新しいスーパーのトイレなどを探しました。

その後は尿失禁は1度もありません。妊娠中は尿失禁を経験する人が多いと聞いて、自分でも覚悟をしていましたが、大丈夫でした。だから、あれはやはりストレスのせいだったのか、と思わずにはいられませんでした。

今は安定している、と思う

その後は親しい友人もできて、徐々に私も安定していったのですが、完全に安定するまでは、人混みに入ると呼吸ができない状態になったりしていました(息を吸っても吸っても苦しいという状態です)。

実生活が困難と言うほどではありませんでしたが、私が完全に精神的にも肉体的にも安定したのは、子どもがある程度成長してからだと自分では思っています。そして、今考えるとあの頃の私はきっとストレスから何らかの病気を発症していたのだと思います。

私はこの数々の不調を決して親に相談しませんでした。私の父はそのときすでに病気で倒れていて、相談できるとは思っていなかったし、母にはもっと相談できませんでした。

父が倒れて経済的に苦しいのを知っていて進学したので、そんな弱音のようなことは口が裂けても言えないと思っていたのです。現在のように適応障害とか不安障害などは知られていませんでしたから、知識もありませんでした。

しかし、このような名前が付くことで、自分を苦しめるものと向き合い、対策が立てられるかもしれません。自分がおかしいのではなくて、病気がおかしくさせているんだと自覚できるだけでも、ずいぶん気が楽になると思います。

今、不安だとか、ちょっとおかしいと思っているひとは、できれば一人で抱え込まずに、借りられる力はすべて借りて、人生のピンチを乗り切って欲しいです。私の場合、大事には至りませんでしたが、やはり自分で自分をコントロールできないところがありました。

そのために、無駄にしてしまったこともたくさんあったと思います。

だから、深田恭子さんにはゆっくりと休養してもらいたいです。再び画面を通して、愛らしい彼女の姿を見られる日が待ち遠しいですね。

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