夫の祖母と叔母のこと

家族

私がかつて同じ敷地内に同居していた夫の祖母には、娘が1人いました。本当は息子(夫の父)ともう1人の娘がいたわけですが、早くに亡くなってしまったのです。

祖母の娘(つまり夫の叔母ですね)は同じ県内に嫁ぎましたが、車でも1時間近くかかる場所のためにそれほど頻繁に祖母の元を訪れることができませんでした。

叔母の思い

叔母は私たち夫婦が孫であるにもかかわらず、祖母と同居していることを申し訳なく思っていたようで、晩年祖母が体調を崩すと、自分が看病したいから祖母を近所に入院させて欲しいと言うようになりました。

自動車の免許を持っていなかった叔母のために、夫がその願いを聞き入れ、何度か祖母を叔母の自宅の近所の病院に入院させました。

1度は退院した祖母を自分の家で面倒見ると言って、連れ帰りました。そのとき叔母の家にも姑にあたる人がいたのですが、その人は入院中でした。叔母の言い分はこうでした。

うちのばあちゃん(姑)は入院中で、部屋も空いているのよ。なんにも遠慮することはないから、(祖母に)いつまでいてもらっても構わないわ。

私と夫はいくら何でも、これは良くないだろうと考えました。何も叔母の姑の留守を狙うことはない、と感じられたのです。自分の入院中に嫁が実家の親の面倒を見ていると知ったら、姑はどのように感じるかと私は不安でした。

自分の親と夫の親、どちらを取るか

私は姑があまり良い気持ちではいられないだろうと思いましたが、夫も考えは同じようでした。他に面倒を見る人がいないならともかく、祖母には曲がりなりにも私たちがいたのです。姑はそれならもっと自分に向き合って欲しいと思ったのではないでしょうか。

しかもそのとき、姑はもう危ない状態でした。そのまま亡くなってしまったら、その場のみんなが嫌な気持ちになってしまう、中でも叔母が後悔しないかと心配でもありました。

心配はあたり、祖母を泊めて何日かで姑は本当に亡くなってしまいました。真夜中に急遽祖母は自宅に戻されることになったのです。結局みんなの中に嫌な気持ちが残ることになってしまいました。

病み上がりのお年寄りを夜中に連れ回すことになったし、隠し事をしていたという罪悪感は消えることがありませんでした。唯一、姑は祖母が自宅に泊まっていたことを知らなかったのが救いになりました(もう状態が悪くて、知らせようもなかったのです)。

今、思うことは

今ではずっと姑と同居していた叔母が、最後は自分の親と向かい合いたかったのだ、ということも理解できます。私たちへの申し訳無さと、私たちで祖母の面倒が見られるのかという不安が叔母にはあったと思います。それなのに自分の家にも姑がいて、自由に実家へも帰れないわけですから、叔母には焦燥感があったのでしょう。

今なら静かにこんなことが考えられますが、当時(20年くらい前です)は本当に複雑な気持ちでした。なぜ叔母はこうまで祖母にこだわるのか、そんなに私と夫は信用できないのか、と私は気に病んでいました。

私自身も母を亡くしたとき、初めて叔母の気持ちがわかったような気がします。やはり私も母のことを誰かに頼もうという気にはなりませんでした。最後まで自分でしたい、という気持ちが強くありました。

考えてみると、私は母と向き合える環境でした。そのときは心が苦しいと思っていましたが、叔母に比べて恵まれていたと思います。母が亡くなった後で、叔母は私にこう声をかけてくれました。

人が1人死ぬんだから、全部片がつくまでは大変だよね。本当に人が死ぬっていうのは、大変だよ。

もとは他人同士が集まるのが敷地内同居ですが、そうでなくても結婚すると、多かれ少なかれ他人同士が家族として振る舞うことになります。いろいろな考えがぶつかり合って大変ですが、後になってわかることも多いような気がします。

少なくとも私が以前叔母に対して感じていた不信感のようなものは、違ったものになりました。わだかまりになるかとも思っていたのですが、それもなく現在に至っています。人生には誰も悪くないのに、うまく行かないことが必ずあるのかもしれません。

またおいで下さい。

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