子どもを預けるリスク

生活

今年の4月、ベビーシッターとして派遣された男性が訪問先の男児をさわったことで強制わいせつの容疑で逮捕されました。この男性を派遣したベビーシッター仲介サイトでは男性のベビーシッターの受け入れを停止したということです。これは差別にあたるのではないかと、抗議の声も上がっているそうです。

男性ベビーシッターの受け入れ停止は差別?

確かに男性のベビーシッターが全員、犯罪を犯すわけではありません。でも、このサイトでは保育のための有資格者を選んで登録し、所定の研修を受けた上で派遣していました。それなのに、犯罪は起きてしまったわけです。

幼児に対するわいせつ行為を行うのは男性が多いという事実を受けて、仲介サイトでも苦渋の決断をしたものだと思われます。

どうしてリスクが生まれるのか

自分の子どもをこの男性に預けた人(テレビで紹介されていたのはお母さんでした)は後悔して、自分を責めていました。とても気の毒に思いますが、しかしお母さんが責任を感じる必要はありません。誰に子どもを預けるとしても、リスクは付き物だと私は思います。

私自身は自分の娘を三年保育の幼稚園に入れたのが、子どもを他人の手に委ねた最初の機会でした。先生方はみないかにも子どもを大好きといった感じの、見るからに優しそうな若い女性ばかりでした。それでも、私は最初のうちは心配でたまりませんでした。ハッキリと何が心配だったのか、言葉にすることは難しいのですが、私は得体の知れない危機感を覚えていました。

預ける相手はどんなに育児に慣れているとしても、自分自身ではありませんから、いくらかの違いが出てきます。どんなおやつを食べさせるか、子どもが高いところに登りたがったらどうするのか、など小さな違いがたくさんあるでしょう。

その小さな違いがときには、ケガや病気につながるかもしれません(幼稚園や小学校では子どもは必ずと言って良いほど、ケガや病気をします)。それも小さいけれどリスクなのです。そのとき自分はどう対応するのかを考えて置かないと困るときが来るでしょう。

また、預かる人と子どもの相性が悪い場合もあります。どちらが悪いのでもなく、ただ合わないだけです。大人同士ならお互いに距離を取ることで解決することが、預かる人と子どもでは難しくなります。これもまた、子どもを預けるときのリスクです。

そして今回の事件のような幼児に対するわいせつな行為などはもっとも大きなリスクです。誰もがなくなって欲しいと思っているでしょうが、忘れたころに必ず起こることですから、忘れてはいけないと思います。

これはみんなの問題

子どもを預けるときには、小さなリスクから大きなリスクまでがたくさんあるわけです。リスクがあるからと言って、子どもを絶対に誰にも預けないわけにはいきません。それでは子ども自身が苦しくなるときが来てしまいます。子どもには家の外に出て、また帰ってくることで自分の世界をしっかり作り、そしてその世界を広げる権利があると思います。

早いか遅いか、多少の違いはありますが、誰もが子どもを外の世界に出さなければなりません。それには信頼できる人の手に委ねる必要があります。つまり子どもを誰かに預けなければならないのです。そして誰でもリスクを承知で子どもを預けるということでは同じ立場にいます。これが先程の男性に子どもを預けたお母さんが責任を感じる必要はないと私が感じた理由です。

もし、私は専業主婦で子どもを預ける必要なんてないから、これは関係ない事件だと思っているなら大間違いです。

そしてこのような事件があるたびに、男性の保育者肩身が狭くなるのではないかと心配です(今回も仕事を失って困る人が出ているようです)。逮捕された男性は、幼児やその家族だけでなく、真面目に子どもたちに接していた男性の保育者のことも大きく傷つけてしまったのです。

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