先日、大谷翔平選手の通訳を勤めていた男性が解雇されたことにいろいろと思うところがあり、記事にも書きました。
私は野球にまったく興味はありませんが、通訳という存在には大変興味がありました。言葉の通じない地域で活躍する人にとって、通訳はどうしても必要なのでしょうが、少々怖い存在だと思います。
コミュニケーションを他人に丸投げする怖さ
もし通訳が意図を持って、正確に言葉の内容を伝えなければ、その場にいる人々(例えば大谷選手)の気持ちを変え、関係性を壊すこともできます。
大谷選手の野球の実力は確かなものでしょうが、野球はチームプレイです。チームプレイのためには、意志の疎通が不可欠で、そのためにはまず言葉が必要です。大谷選手にはどうしても通訳が必要だったわけです。
一々通訳が嘘を言っていると疑っていては、生活が成り立ちませんから、大谷選手は通訳の男性を信頼していたことでしょう。いや、信頼せざるを得なかったはずです。
私などは『大谷選手はよく通訳の言う事を全部信じられるな~。そして自分の言ったことが、正しく英訳されていると信じられるなんて、普通の関係ではあり得ないよ』と思っていたくらいです。
今回の解雇には、普通ではあり得ないほどの信頼関係も原因の1つになっているのかもしれません。通訳の男性はギャンブルにハマり、6億円以上の掛け金を支払わなくてはならなくなりました。
その掛け金は大谷選手の口座から送金されたと言いますが、もし大谷選手が事実を知っていて送金をしたとすると(そのような説もありますよね?)、信頼関係にあった通訳男性を失いたくない気持ちがあったのかもしれないと思うのです。
言葉を頼ると生活全般を頼ることになる?
報道によれば通訳の男性は通訳だけでなく、公私ともに大谷選手を支える存在だったそうです。普段意識していなくても、言葉は生活全般に大きく関わっているものです。通訳の仕事を全うしようとすればするほど、通訳の男性は大谷選手の生活に深くかかわらざるを得なかったのでしょうか?
肘の手術を終えたばかりの大谷選手。今こそチームときめ細かい会話が必要なときです。そんなときに突然の通訳の解雇は彼にとって大きな痛手になるでしょう。
これからのスポーツ界では、通訳があまり選手の生活に立ち入らないような規制が必要になるかもしれません。生活面などでサポートが必要であれば、別の人を用意して、1人の人間との癒着を防止することもできるでしょう。
通訳に頼らないのも難しいが
私は昔から言葉の通じないところへ行くのがとても嫌でした。海外旅行も未経験です。英語は学校で教わりましたが、簡単な文章であっても一度和訳をしてからでないと、解釈することができません。
自分の頭で考えられない言語を使うしかない環境が受け入れられないのです。そんな場所で頼りにできるのが通訳という存在だったわけですが、これからは通訳に頼らないで済む方法も考えた方が良いでしょう。そして、言語が違えば考えも違うのだということを忘れないほうが良いと思います。
仕事で海外に行く予定がある人は、その前に語学力を磨くと良いでしょう。そして、現地では通訳に頼り切りにならずに、自分でも言葉を理解しようと努めることがこれからは一層大切になると思います(大谷選手の語学力もかなり上昇したようですが…)。
しかし、外国語は英語だけではありません。英語ならとっかかりがある人も多いですが、それ以外の言語だとどうなるんでしょう。コミュニケーションを人任せにしないのはなかなか難しい問題ですね。