昨日の新聞で定年退職後の夫が外に出ようとしないという妻の悩みが相談されていました。この夫は仕事をは真面目に勤め上げ、妻の家事も手伝う非の打ち所のない男性でしたが、ただ1つ自分ではまったく外出しないことが妻の悩みになっているということです。
美輪さんは辛口だったけど
悩みに答えていたのは美輪明宏さんでしたが、妻に対してかなり辛口の意見でした。今まで働いてくれ、家事もやってくれた夫に対して感謝の気持ちが足りないというのです。『1人になりたいなら、別居でもなさったらどうですか、そうすればご主人のありがたみがわかるはずです』という内容のことまでおっしゃっていました。
しかし夫は妻と一緒だといろいろと出かけるのに、自分1人では決して出かけないため、妻は夫が退職してから1人の時間が持てずにイライラするということでした。
今までは夫が仕事をしているときに1人の時間を楽しめたのに、それができなくなったのですから、妻がイライラするのも無理がないと私は思いました。
昔は書斎を持ちたいという夢を持っているお父さんが大勢いたようですが、1人になりたいのがそんなに悪いことなら、この夢も悪いと言うことになってしまいますね。
自分の気持ちを言うのは悪いこと?
相談中、1人になれずイライラすると訴える一方で、妻は夫のことをとても良い人だと表現していました。そんなに良い人なら、私は夫に直接自分の気持ちを話してみるべきだと思いました。
好きな映画や音楽は1人で楽しみたい、自分の世界に入り込みたいという気持ちは誰にでもあると思います。また、読書は1人でないとできない人が多いはずです。だからちょっと1人にしてね、と言うのはそんなに悪いことではないと思います。
または妻が1人で出かけてしまうという方法もあります。夫も家に残って1人の時間を過ごしてみれば、意外に快適なことがわかることもあるはずです(自由だし、妻に遠慮しなくても良いわけですから)。
最初は妻だけが外出していても、1人の時間が快適なことがわかった夫が趣味を見つけ、自発的に外出をするようになるかもしれません。
新しい環境に慣れるのは難しい
一緒に過ごすというのも、慣れが必要だと思います。自分の気持ちを抑えたままで、この後何十年も過ごすのは難しいでしょう。自分の気持ちを小出しにしつつ、程よい距離感をつかめば良いのではないでしょうか。距離はあまりに遠いと孤独になって、何のための家族かわからなくなるし、近すぎても息が苦しくなると思います。
私個人の思いですが、結婚した当初は夫婦2人の生活になかなか慣れずに大変でした。若い時でさえそうなのですから、中高年になってから生活が変わると、慣れるまでにもっと苦労があるはずです。
これは悩みが単に1人の時間が持ちたい場合の話です。この悩みの裏に、夫がジャマだとか顔も見たくないという気持ちが隠れていた場合は解決が難しくなるでしょう(結婚生活が長くなると、自分の中の愛情の存在を確かめるのが難しくなるので、自分の本心を自覚するのが難しいですが…)。美輪さんは悩み相談の裏の、本当の姿を見抜いたのかもしれません。