このお正月も餅を喉に詰まらせて亡くなる方が出てしまいました。実際に私の親戚は、5年ほど前に餅のせいで亡くなっていますから、他人事ではありません。
実際に餅が詰まって亡くなった伯父
亡くなったのは私の伯父です。前の年に妻(私の伯母)を亡くしたばかりで、寂しいだろうからと一人娘(私のいとこ)が自宅によんで、お正月のごちそうを一緒に食べていたところでした。餅を詰まらせてすぐに救急車を呼んだそうですが、結局間に合いませんでした。
いとこは立て続けに母と父を失いました。一人娘なので誰かと協力することもできず、悲しいのと忙しいのとで大変な日々を送ったようです。また、目の前で苦しむ父親を見てしまったので、ショックも大きかったようです。
ローストビーフが詰まった祖母
ただ、喉に詰まるのは餅だけではありません。私はかつて夫の祖母と同じ敷地内で暮らしていましたが、祖母が喉に詰まらせたのはローストビーフでした。柔らかくて食べやすそうなローストビーフでしたが、切れ端の筋状になったところが、何かの表紙に喉に詰まってしまい、いくら咳をしても下に落ちませんでした。
まだ娘たちが幼かった頃で、アメやリンゴの切れ端を喉に詰まらせることがありましたが、そのときは足首を持って、逆さ吊りにしてブンブン振るという荒業をやっていました。これで大抵のものは取れるのですが、小さな体の子どもだからこそできたのです。大人でしかもお年寄りとなると、どうすればよいのか、私はただオロオロするばかりでした。
焦った私は祖母の口の中に手を突っ込んでローストビーフを取ろうと考えました。
「口を開けろ、取ってやる!」と叫びながら、祖母に近寄っていくと、びっくりした祖母はすごい勢いで後ずさりをしました。そのとき動いたことによって、ローストビーフが胃の中にストンと落ちたようでした。
喉に詰まったときの応急処置
怖い思いをした祖母は気の毒でしたが、何事もなくてホッとしました。そして怖いのは餅だけじゃないんだな、と実感しました。ちなみに大人が何かを喉に詰まらせたときは、背後から手を回してみぞおちの下を両手で突き上げるように圧迫すると取れるそうです。この方法はハイムリック法といいます。正確な方法は自分で調べてみてください。
また、背中を叩くことでも詰まったものが取れることがあります。背中を叩くなら、家族以外でもやりやすいので、覚えておくとよいですね。ちゃんと覚えておかないと、いざというときにできるはずがないので、普段からの心がけが大切です。
予防が大切!
ただ餅には粘り気があるので、これらの方法では取れないことがあります。お年寄りには、餅を小さくする、急いで食べないなどの気遣いが予防につながるのではないでしょうか。また一人で餅を食べないことも大切です。一人で餅を食べて喉に詰まらせてしまったら、誰も気付かないうちに最悪の事態になってしまうことも考えられます。
餅が詰まったら、掃除機で吸引する方法もありますが、吸引力が強いために、体の内部を傷つける危険があるそうです。掃除機に取り付けて使う専用の吸引器具を用意するのでなければ、むやみに掃除機は使わない方がよいでしょう。
食事をする人全員が知って欲しい!
せっかくの正月に、餅を喉に詰まらせて亡くなってしまうのは、あまりにも悲しいことですし、それを見ていた人にもショックを与えてしまいますから、できれば避けたいことです。
また、詰まるのは餅だけではないことを知って、食事をする人は全員、予防法と応急処置について知っておくべきです。食べ物が喉に詰まるのは、お年寄りや小さな子どもだけでなく、誰でも可能性があります。1年の始まりは、気を引き締めて行きたいと思っています。