ご近所の女性が亡くなったとき、夫は自分の叔母にも知らせようと言いました。私は知らせるのは良いけど、叔母がショックを受けたり、葬儀に参列するんだと言い出したらちょっと面倒だなと思っていました。
叔母には知らせない方が良いと思っていたが
ご近所の女性は叔母よりも8歳年下で、叔母はことあるごとによく面倒を見てやった、〇〇子(亡くなった女性)はこの家が大好きで自分の家のように過ごしていたものだ、と言っていたのです。叔母は情に厚く、身近な人をとても大切にします。その思いが強すぎて、ときにお節介や押しつけになってしまうほどでした。
そんな叔母のことですから、度々懐かしんでいた女性が亡くなったと聞いたら、どのように思うだろうか、体調でも崩してしまうのではないかと心配でしたが、その心配は無用でした。夫が電話をしたとき、すでに叔母は体調を崩しており1ヶ月も前から入院していたのです。
電話口の家族によれば、心臓に不調があり、具合はあまり良くないのだそうです。夫はそれを聞いて、女性が亡くなったと知ってショックを受けたら、本当に良くないと思ったようで「やはり知らせないで、〇〇子さんが亡くなったことは黙っていてください」と告げて電話を切りました。
夫と一緒に苦しいときを過ごしてきた叔母
考えてみれば、自分では移動できないにもかかわらず、お盆やお彼岸の前になると必ず行くと電話をしてくる叔母でした。それが今回のお盆のときにはまったく音沙汰がなかったのですが、私はこの暑さだから、気をつけて自宅にいるようにしているんだろうと思っていました。
夫だけが「あの叔母さんが何も言ってこないのはおかしい。どうかしたんじゃないか」と訝しんでいたのです。やはり実際に血が繋がっているかどうかってこういう時にわかるのか、それとも夫も叔母の血を引いているから情に厚い人間なのか、と感心してしまいました。
夫と苦しい時を一緒に切り抜けてきた人たちが、次々といなくなってしまうのは本当に気の毒です。しかし、叔母ももう83歳です。何があってもおかしくない年齢になっています。次々と不幸があるのは辛いものですが、それだけ自分たちが年を取ってしまったことの証でもあります。
叔母がしてくれたようにできるか?
夫の父(つまり叔母の兄)は39歳の若さで亡くなりました。飲酒運転による自動車事故でしたが、そのとき運転していたのは叔母の姉の夫でした。身内を一度に失う辛さは叔母も同じだっただろうに、叔母には残された家族を支えるという大きな仕事が残されてしまいました。
叔母は献身的に自分の母(夫の祖母)と夫を頭とする三兄弟を支えました。三兄弟が成人してからも、生活が苦しいと言われれば、結婚した夫の弟にそっと現金を送ったこともあったそうです(私はあまり良くないことだと思っていましたが)。
これらのことは、叔母が裕福だからできたことだと考えると簡単ですが、たとえ私が裕福でも果たして同じことができるでしょうか。自分はすでに結婚して、子どももいた身で、実家のために尽くすのは言うほど簡単ではないように私には思えます。そしてそれを許した叔父も立派な人だったのだと思わずにはいられません。
今でも夫の弟が金の無心をしてくると、私の心は穏やかではいられません。私が脅かされていると感じるのです。私が叔母のようになれるとは思いませんが、幸せに生きるためには、叔母の生き方から1つでも学べることがあるような気がします。今は自分たちの辛さよりも、叔母のしてくれたことを私は考えたいです。