長女はアルバイトをしながら漫画や絵を描いています。本当はちゃんと就職して欲しかったのですが、今のところアルバイトをしているから親に頼っているわけでもなく、年金も保険も自分で支払いをしています。だから、私や夫が文句を言う筋合いでもないと思っているわけです。
文句を言うつもりはないけれど
長女はもうすぐ30歳になりますから、将来的に不安がないと言えば嘘になりますが、それを考え出すとキリがありません。しかし、長女と同じ年代の子が結婚したとか、子どもが生まれたなどというのを聞くと正直うらやましいと思うし、焦りにも似た感情が湧いてきます。まあ、私自身が老後に不安を抱えている以上、長女の将来に不安があったところでそれは仕方がないように思うのです。
仕方がないと思っていても、そこはなかなか複雑な心境です。多分、夫も同じだと思います。ところが、長女も実は複雑な心境をなだめながら生きていることに、私は気がついてしまいました。
長女は多分ブログに短く自分の心境を綴っています。それを私は発見してしまいました。別にそれには本名が出ているわけではありませんでしたが、十中八九は長女のもので間違いはないでしょう。そのブログには本当はもっと絵を描きたいのに、バイトをしなくてはならないのが辛い、というか自分は一体何をしているのだ、という心のうちが書いてありました。
自分に都合の良いように考えていただけ
私は勝手に長女は仕事と趣味を両立して楽しく生活していると思いこんでいました。長女は同僚の人たちと休日に出かけたりもしています。そんなことから、それなりにバランスの取れた毎日を送っているのだから、心配ないと思っていたのです。
現在次女が引きこもりをしていて、どちらかというとそのことが私の心の負担になっていました。だからせめて長女だけは楽しく生活していると思いたかったのでしょう。
しかし、楽しそうにやっているというのは、長女の生活のほんの一部分に過ぎなかったのです。漫画や絵を描くのは、長女にとってきっと趣味ではないのでしょう。それらは多分長女が生きるのに必要不可欠なものなのです。だから、そのための時間がアルバイトで削られるのは、辛いことなのに違いありません。
多分私は何もしない
辛いのだろうとは思いますが、だから私に何かできるわけではありませんし、多分しないと思います。長女がある程度自立した生活をしていなくては、私は長女が漫画や絵を描くことを疎ましく思うに違いないのです。応援はしないまでも、ジャマはしないという姿勢でいるためには、長女が今の生活を続けることが必要なのです。
長女の心の中を垣間見てしまったこと、そして自分が都合の良い見方しかしていなかったことに気がついてしまったため、私は数日間はちょっと落ち着かないでしょう。
昔の日記は多分机の引き出しなどに大切に保管されていたでしょうが、ブログは誰かに読んでもらうのが前提です。それでも家族のブログというのは、多分別なのです。私の今の心境は、勝手に日記を見たお母さんの心境です。ちょっと罪悪感もあります。
知らない方が良い、気が付かない方が良いことって世の中にはあると思います。いわゆるパンドラの箱というやつでしょうか。
『これって長女のブログじゃない?』と思ったときに、すぐに見るのをやめれば良かったです。それとともに、自分のこのブログも私本人であることが絶対にわからないようにすることが、家族の心の平和のためには必要なのだと強く思ったのでした。
でも、これから私は長女に対して、違う見方ができるようになるかもしれません。それが少しでも家族に対する思いやりのある態度になれば良いと思っています。